公益社団法人日本超音波医学会|The Japan Society of Ultrasonics in Medicine

よくあるご質問

Q. 同一患者で複数の所見がある場合は、それぞれを別々の症例として扱ってもよいですか?
A. 同一患者で異なる2つの疾患があっても別々の症例としては用いることはできません。肝硬変と胆嚢結石を有する症例の場合、まず肝硬変として抄録を記載しても、肝疾患だけについて抄録を記載するわけではなく、異常所見があるなしにかかわらず、胆嚢、胆管、膵臓、腎臓などの所見も同一の抄録に記載することが義務付けられております。すなわち胆嚢結石についても肝硬変の抄録の中に記載しなければいけません。胆嚢結石を別な抄録として提出すると2重で提出することになってしまいますので、どちらかの症例として提出してください。
Q. C-1「肝臓のびまん性疾患」の項目が4例以上必要となっていますが、一部重複した診断名の症例があっても良いですか?例えば、脂肪肝2例と肝硬変 2例でも良いですか?
A. 可能な限り異なる疾患の抄録が理想ですが、一部重複してしまうのは致し方ないと思いますので結構です。あまり重複例が多い場合は再提出をお願いすることがあります。
Q. C-1慢性肝炎としてアルコール性とC型肝炎によるものを2例として提出して良いですか?
A. 可能な限り異なる疾患の抄録が理想ですが、一部重複してしまうのは致し方ないと思います。しかし病名は同じ慢性肝炎であってもアルコール性とウィルス性では異なった超音波所見が認められることがありますので、鑑別点やその特徴などを抄録に記載してください。
Q. C-1「肝臓のびまん性疾患」で肝硬変の症例を提出したいのですが、肝硬変のみで肝細胞癌を合併していない症例が見つかりませんでした。肝硬変と肝細胞癌を有する症例をC-3 「肝臓の悪性腫瘤」の項目ではなくて、C-1で提出したいのですが可能ですか?
A. C-1「肝臓のびまん性疾患」で肝硬変の症例を提出する場合、必ずしも肝硬変のみで肝細胞癌を伴わない症例である必要はありません。肝硬変と肝細胞癌を有する例をC-1「肝臓のびまん性疾患」の症例として提出することは可能ですが、その場合は同一症例を、C-3 「肝臓の悪性腫瘤」の項目で提出することはできません。
Q. 超音波検査では描出しえなかった所見が、CTや病理検査で指摘されている場合、超音波所見と病理検査の比較と考察ができないのですが、その場合は比較や考察を書かなくてよいのですか?
A. 超音波検査で描出できなかった所見が、CTなどで描出できた場合は、なぜ超音波検査で描出できなかったかなどを考察として記載してください。
Q.乳癌や大腸癌からの転移性肝腫瘍の場合、最終診断の欄に乳癌や大腸癌の病名も記載するのでしょうか?
A. 原発巣が確定しているのであれば最終診断の欄に、「転移性肝腫瘍」とともに「原発巣(乳癌や大腸癌など)」の病名も記載してください。
Q. 超音波検査時には転移は肝臓のみで、転移性肝腫瘍と診断された症例ですが、その後の検査で新たに脳や肺に転移が見つかった場合は最終診断に、転移性肺腫瘍や転移性脳腫瘍と記載するのでしょうか?
A. 最終診断名は他の検査で診断されたことも書いて良いので、上記の疾患が新たに診断されたのであれば記載してください。
Q. 癌症例で、CT検査ではリンパ節腫大を認めましたが、手術をしていないので、転移によるものか非特異反応リンパ節によるものか判別できません。その時は最終診断へはリンパ節腫大で良いのでしょうか?またはリンパ節転移疑いと記載するのでしょうか?
A. 臨床的に転移が疑われれば、「リンパ節転移疑い」ですし、非特異性が考えられれば、単に「リンパ節腫大」で良いと思います。(リンパ節が腫大している場合、リンパ節の形状や融合の有無等でおのずと、転移か否かが判定できることが多いため、より考えられる方を病名を記載してください。)
Q. C-6 「消化管」で、上部消化管疾患と下部消化管疾患の両方の症例が必要でしょうか?
A. 両方の症例があるのが理想ですが、もしなければ上部消化管疾患のみ、または下部消化管疾患のみでも結構です。
Q. 鼠径ヘルニアは消化管(C-6)に含まれますか?
A. 現在消化器領域の疾患としては取り扱っていないので(C-6)にも(C-7)にも含まれません。
Q. 消化管領域の症例に「食道裂孔ヘルニア」 を入れても良いのでしょうか?
A. 消化管疾患(C-6)に入れていただいて結構です。
Q. Ⅳ型の胃癌の症例をC-6で記載したいのですが、胃癌の部位の超音波画像が必ず必要ですか?胃前庭部の背側のリンパ節の腫大がありますが、直接的な所見ではないので記載することはできないのでしょうか?
A. Ⅳ型の胃癌であれば、超音波検査にて胃の全周性の壁肥厚がとらえられるはずです。あくまでも超音波検査の試験ですから、病変部の画像がないものは抄録としては不適当です。また胃前庭部の背側のリンパ節の腫大があれば転移であっても反応性であっても付加所見として記載してください。
Q. その他(C-7)の項目には脾臓以外の腎臓・乳腺などの疾患を記載してもよろしいでしょうか。
A. C-7はあくまでも消化器領域の中のその他ですので、泌尿器、産婦人科、体表領域などの疾患は含まれません。その他(C-7)については脾疾患、腹腔疾患(腹腔内膿瘍、癌性腹膜炎、腹膜偽粘液腫など)、腹部外傷(肝、脾、消化管など)などであり、泌尿器科領域、産婦人科領域、大血管領域(腹部大動脈瘤、大動脈解離など)などの他領域の疾患は含まれません。ただし肝動脈瘤、脾動脈瘤、脾静脈瘤、脾腎シャントなどの消化器領域の臓器に由来する動脈瘤や静脈瘤、シャントなどは含まれます。
Q. その他(C-7)の項目には腹部(腹腔内)の悪性リンパ腫を記載してもよろしいでしょうか。
A. 胸水や腹水は病名ではなく、所見ですので入りません。胸水や腹水の原因が肝硬変であれば肝疾患に入れるべきです。同様に悪性疾患がベースにあればその病名の項目に入れてください。
Q. 胆道気腫や胆管過誤腫は(C-4)として良いのでしょうか?
A. 胆道気腫は(C-4)で結構ですが、胆管過誤腫は(C-2)にしてください。
Q. 胃癌のリンパ節転移を、リンパ節を主として書きたいと思うのですが、それは消化器の範囲に含まれるのでしょうか?
A. 胃癌のリンパ節転移をリンパ節を主体として書かれるなら、その他(C-7)となります。胃癌をメインとするなら消化管(C-6)となります。
Q. 超音波診断は腫瘤形成性膵炎としましたが、最終診断名は膵癌でした。このような場合は症例として提出できないでしょうか?
A. 提出可能です。最終診断名が疾患名になりますので、膵癌の症例として胆道膵臓の悪性疾患(C-5)になります。 また超音波診断と最終診断が異なっていた点について、考察を記載してください。
Q. 健診で行った脂肪肝や胆嚢ポリープ等の良性の症例を消化器領域として提出しても良いのでしょうか?
A. 健診における症例を消化器領域の抄録に用いることは認められません。その後経過観察や精査のため外来を受診して、再度超音波検査を受けた場合は再度受けた超音波検査の方であれば消化器領域として提出していただいて結構です(この場合でも最初に行った健診の超音波検査の画像は用いないでください)。
Q. 健診機関で見つけた悪性疾患(腫瘤)等でも、医療機関での精査・臨床診断・手術等の詳細な結果があれば、消化器領域の超音波検査実績として記載することは可能でしょうか。
A. この場合は前述のように(健診領域の症例として用いることは使用可能ですが、)消化器領域の超音波検査実績としては使用できません。
Q. 健診領域の受験時に超音波検査実績とした症例を消化器領域でも提出してよろしいでしょうか。もちろん臨床診断確定済みで同一技師(受験する技師本人)の症例です。
A. 提出できません。受験分野が違う場合は、新しい症例の抄録の提出が必要です。
Q. 超音波検査実積の写真のボディマークが長軸方向で短軸の写真になっています。ボディマークの間違えを訂正する場合、どのように記載したらよろしいでしょうか?
A. 写真上のボディマークを訂正するのは困難だと思いますので、写真を貼り付けた用紙の写真の横のあいたスペースに手書きで正しい位置を記載していただければ結構です。
Q. 胆道膵臓の良・悪性疾患2例以上ですが、例えば、胆道だけで2症例以上の提出は認められますか?
A. 認められます。
Q. 伝染性単核球症の方に、肝腫大、脾腫が認められました。また、頸部リンパ節の腫大が認められました。疾患コード(C-1)になりますか?
A. 伝染性単核球症で肝腫大、脾腫を認め、血液検査でも急性肝炎を示唆する肝胆道系酵素の上昇があれば、肝臓のびまん性疾患(C-1)です。
Q. 超音波検査所見の欄に「肝に嚢胞を認める」「胆嚢に結石を認める」と記載してもよいですか?
A. 「嚢胞」「結石」は疾患名ですので、検査所見としては適切ではありません。抄録見本を参考に記載してください。
Q. 胆管癌で肝臓内に腫瘍ができている場合は肝臓の悪性腫瘍にいれていいのでしょうか?
A. 「肝内胆管癌(以前は胆管細胞癌とされていたもの)」は、原発性肝癌として取り扱われておりますので、肝臓の悪性腫瘤(C-3)です。ただし、肝門部の胆管癌であれば「肝外胆管癌」になりますので、その場合は胆道の悪性疾患(C-5)です。
Q. RASなどの略語を使用してもよいですか?
A. 略語を使用する場合は、最初に定式用語を書き、その後(  )内に略語を記載してください。
 例:Rokitansky aschoff sinus (RAS)
Q. 脾臓石灰化は、症例とする事はできますか?
A. できません。脾臓の石灰化は一つの所見であり、疾患名ではありません。
Q. 超音波検査時に膵癌が見つかったのですが、造影CT施行後、他院紹介となったため治療経過は不明です。また、腫瘍マーカーとしてCA19-9検査をしていません。抄録として使用することはできますか?
A. できます。CT検査をはじめ、施行した検査の範囲内で最終診断し、抄録を記載してください。CA19-9は膵臓癌の診断に有用な腫瘍マーカーではありますが、未施行であれば仕方ありません。また必ずしも治療経過が必要なわけではありません。
Q. 超音波検査や造影CT、造影MRIで肝細胞癌特有の所見を認めましたが、血液検査でPIVKA-Ⅱ、AFPいずれの腫瘍マーカーも正常でした。この場合、血液検査では典型を示さないため、抄録として使用することは不可ですか?
A. 全ての検査において典型的であった症例のみが対象になるわけではありませんので、抄録として使用して問題はありません。
Q. 十二指腸乳頭部癌は胆道膵臓系悪性疾患(C-5)ですか? 消化管(C-6)ですか?
A. 十二指腸乳頭部癌は胆道癌の一つとして取り扱われております。胆道膵臓の悪性疾患(C-5)になります。
Q. まだ手術していない膵インスリノーマの分類は、良性疾患ですか?悪性疾患ですか?
A. 臨床経過、血液検査、超音波検査を含めた画像検査を総合して、術前により強く疑われた方の診断で提出してください。
Q. 肝硬変の脾腫症例を、脾腫として、その他(C-7)で提出できますか?
A. 提出できます。ただしその場合、この症例を、「肝硬変」として肝臓のびまん性疾患(C-1)に使用する事はできません。また、脾腫で提出する場合でも、肝臓の所見は抄録に記載して下さい。
Q. SLEや皮膚筋炎等の自己免疫疾患の症例に脾腫を認めました。脾腫として、その他(C-7)で提出できますか?
A. その他(C-7)として提出可能です。ただし、SLEや皮膚筋炎と脾腫の関連については、きちんと原因や機序を考察してください。
Q. 血液疾患や自己免疫疾患で脾腫を伴っていない場合は、副脾として提出できますか?
A. 脾腫を伴っていない症例は脾腫としては提出できません。脾腫が無くても、副脾としての提出は問題ありません。その場合は、他の画像検査なども含めて、副脾と診断した根拠をきちんと考察してください。
Q. 腫瘤像の描出は可能でしたが、膵臓、胃どちらの腫瘤であるか、確認できませんでした。他画像検査・病理検査において最終診断はついています。こういった症例でも提出可能ですか?
A. 膵臓か胃かわからない場合、検査者がどのような所見があり、どちらの臓器由来を考えたかを考察すれば結構です。膵臓由来の癌と考えたが、他の検査の結果胃癌であったという症例でも提出可能です。ただしその場合は最終診断名の症例の項目で提出してください(すなわちこの場合は膵臓悪性腫瘍として出すのではなく、最終診断名の消化管の項目の症例としてください。最終的にどちらか由来か判明できない場合は症例として提出できません。)
Q. 胃炎C-6、胃潰瘍C-6、胃動脈瘤C-7、腹腔内脂肪腫C-7で提出可能ですか?
A. 単なる胃炎では病名としては不適当と考えます。急性胃炎や急性胃粘膜病変を超音波で診断されたならC-6で問題ありません。胃潰瘍はC-6で問題ありません。胃動脈瘤はC-7なら問題ありません。腹腔内脂肪腫は実際の症例をみてみないとわかりませんが、原発巣が後腹膜や腸間膜などであればC-7で良いと思います。