日常診療を支え、最先端医療を切り拓く超音波医学

公益社団法人 日本超音波医学会 理事長
北野 雅之
和歌山県立医科大学第二内科

公益社団法人日本超音波医学会は、超音波技術の研究・開発および医学分野での臨床応用を推進する学術団体です。医師、工学研究者、メディカルスタッフなど多彩な専門家が集い、学術的な活動を展開しております。1961年の設立以来、本学会は日本のみならず世界の超音波医学を牽引し、世界の超音波医学関連学会のなかでも最大規模の会員数を擁する学会として発展してきております。

わが国では医学と工学の研究者が密に連携し、多くの革新的な超音波技術を開発してきました。臓器の機能や立体構造、血流、組織硬度を評価する診断技術に加え、治療時のモニタリングや超音波治療技術など、日本初の数多くの技術が日本から世界に向けて発信されてきました。本学会は、超音波技術の研究開発と臨床応用を促進するとともに、その医療実装を担う研究者や医療関係者を育成する場であります。年1回開催する学術集会は、最新の研究成果を発表・共有する重要な機会であると同時に、ハンズオンなどを通じて超音波技術の普及にも大きく貢献しております。また、新技術の開発を支援するとともに、それらを用いた各種疾患の診断基準の策定にも積極的に取り組んでおります。さらに、超音波専門医、超音波工学フェロー、超音波検査士などの教育・認定制度、研究者への助成制度を整備し、若手医師、臨床検査士をはじめとするメディカルスタッフ、工学研究者の育成にも力を注いでおります。

本学会は、公益社団法人として、超音波医学の発展と普及を通じて、日本国民の健康増進に寄与することを使命としております。超音波検査は、健康診断、妊娠・出産、心血管やがんの診断・治療など、幅広い医療分野で不可欠な役割を果たしております。近年課題となっている地域医療の充実においても、超音波検査は小型の装置を用いて、短時間で実施できることから、有力な診断手段として期待されています。東日本大震災の際には、コンパクトで簡単に使用できる超音波装置を被災地に貸与し、発災後直後には沿岸地域の避難所や仮設の病院・診療所での診療支援や、ボランティアによる深部静脈血栓症スクリーニングに活用されました。その後も、被災医療機関の再建を支える医療機器として重要な役割を果たしました。さらに、超音波医学は対象とする疾患や診療領域が極めて幅広いことから、市民公開講座などを通じて医療全般に関する正しい知識の普及にも努めています。

今後も本学会は、超音波医学のさらなる発展と人材育成、国民の健康と福祉の向上に貢献できるよう、学術・教育・社会貢献活動を一層推進してまいります。