Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2022 - Vol.49

Vol.49 No.Supplement

一般口演 基礎(工学)
生体作用

(S817)

非接触集束超音波は血管内皮細胞を活性化して発毛を促進するか?

Dose noncontact phased-array ultrasound promote hair growth by the activation of endothelial cells?

高田 弘弥1, 長田 康孝2, 波間 隆則2, 坂井 敦3, 星 貴之4, 小山 太郎5, 小林 一広5, 鈴木 秀典3, 小川 令1

Hiroya TAKADA1, Yasutaka OSADA2, Takanori HAMA2, Atsushi SAKAI3, Takayuki HOSHI4, Taro KOYAMA5, Kazuhiro KOBAYASHI5, Hidenori SUZUKI3, Rei OGAWA1

1日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座, 2アンファー株式会社医学研究開発, 3日本医科大学薬理学分野, 4ピクシーダストテクノロジーズ株式会社研究開発, 5Dクリニック東京・新宿

1Departments of Plastic, Reconstructive and Aesthetic Surgery/Anti-Aging and Preventive Medicine, Nippon Medical School, 2Medical Research and Development Division, Angfa Co., Ltd., 3Department of Pharmacology, Nippon Medical School, 4Department of R&D, Pixie Dust Technologies, Inc., 5Tokyo/Shinjuku, D Clinic

キーワード :

【目的】
最近になって,細胞の微小変形が創傷治癒を加速することがわかってきた.そこでは,伸展,圧など様々な外的な力が細胞機能を活性化するメカノバイオロジー機構が働いていると考えられている.そこでわれわれは,従来にない非接触で圧刺激を制御することができる空間集束超音波デバイスに着目し,加齢による抜け毛抑制やAGAの発毛治療を視野に応用を試みた.
【対象】
剃毛した8週齢C57BL/6J雄マウスの背部正中1箇所に1日20分あるいは60分3日間連続で周期的圧刺激を与え,背部正中1箇所にAGA(男性型脱毛症)治療外用薬であるミノキシジルを塗布した場合,刺激なしの場合(それぞれポジティブおよびネガティブコントロール)と比較した.
【方法】
また,刺激開始1週間後に背部正中3箇所から組織を採取し,どのように遺伝子発現量の変化が伝播されるのか調べた.さらに,左側臥位させたマウスの右側背部1箇所に周期的圧刺激を負荷した時の発毛も評価した.
【結論】
周期的圧刺激を負荷したマウスは,刺激なしのコントロールに比べて,18日目に全身で発毛促進が観察され,それらはミノキシジル塗布の場合と同等であった.また,BMP2, WINT11, WISP1などの発毛関連遺伝子は,刺激部位に限らず有意に増加していた.背部正中1箇所にミノキシジルを塗布した場合と周期的圧刺激を負荷した場合の遺伝子変化は高い相関性が認められた.肉眼所見から,圧刺激後は皮膚のバリア機能・発毛環境の改善が観察された.周期的圧刺激は,ミノキシジルと同等以上の発毛促進効果が期待できることが認められた.さらに,遺伝子発現変化の増強は,周期的圧刺激がミノキシジルによる発毛作用機序に一致すること,すなわち,KATPチャネル(SUR2B/Kir6.1)の選択的開口に関与している可能性を示唆した.SUR2B/Kir6.1活性化と遺伝子変化の相関からマウスに対する発毛メカニズムの全容解明を検討し,さらに,臨床研究を進め,新しい発毛促進デバイスの開発を目指す.