Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

1976 - Vol.3

Vol.3 No.03

Case Report(症例報告)

(0165 - 0170)

断層面の記載法について

Apprehensive ways of illustrating the echogram by anatomical land-marks and scanning directions for sonographic convention

小林 利次

Toshiji KOBAYASHI

国立がんセンター病院内科

Department of Clinical Laboratory National Cancer Center Hospital

キーワード :

 臨床超音波診断法は近年,画像表示方法,分解能の進歩・改善により多くの臨床分野において脚光をあび,その普及の速度は欧米においても賞讃に価するものがある。
 グレースケール表示方式の導入により画像はさらに鮮明,軟調性を帯び,臨床診断上,数多くの診断情報が包含され診断能力が向上した。また欧米においては電子スキャナの導入によりreal-time image,すなわちstaticな画像からdynamicな画像が得られるこ とにより血管病変の把握にまで進展しつつあるのが現況である。
 これらの良質な超音波画像(echogramまたはsonogram)の判読にあたり,診断情報が多く含まれれば含まれるほどエコーグラムの詳細な部分と解剖学的位置関係との関連も複雑多岐になる可能性・懸念があるため,記録されたエコーグラムには解剖学的なマーク,標識,すなわち左右,上下,斜方向,角度などを明記しないとエコーグラムの判読・理解がむずかしい例に遭遇することが多くなる可能性がある。
 とくに研究集会などで発表・供覧する場合は来聴者に完全に理解してもらうためには詳細・明確な標識をつけたエコーグラムを提示すること,すなわちいかなる走査線,走査方向であるかを明記するとともに解剖学的な左右,頭側−足側,横断か縦断断層かはもちろん,さらにエコーグラム上またはシェーマに重要臓器名,病変部などの略式表示なども記載してあれば理解しやすいであろう。このことは論文掲載の場合においても然りである。
 エコーグラムの解剖学的見地よりの標識表示(マーク符記)方法について,欧米の諸家の表示方式も含めて紹介し,さらに整理してみることも意義があるのでないかという観点から私見を含めて概観・略記する。腹部スキャンにおいてのみ言及することをあらかじめおことわりしておく。