Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
症例 2

(S851)

超音波検査を契機として胎児診断に至った右横隔膜弛緩症の一例

A Case of right-sided diaphragmatic eventration diagnosed by fetal ultrasound and magnetic resonance imaging

上野 真侑, 須山 文緒, 浅井 哲, 杉林 里佳, 齋藤 裕, 永井 崇, 竹本 周二, 田島 博人, 浅田 弘法, 田中 守

Mayu UWANO, Fumio SUYAMA, Satoshi ASAI, Rika SUGIBAYASHI, Yutaka SAITOU, Takashi NAGAI, Shuji TAKEMOTO, Hiroto TAJIMA, Hironori ASADA, Mamoru TANAKA

1新百合ヶ丘総合病院産婦人科, 2国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター, 3慶応義塾大学産婦人科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Shinyurigaoka General Hospital, 2Center for Maternal-Fetal, Neonatal and Reproductive Medicine, National Center for Child Health and Development, 3Department of Obstetrics and Gynecology, Keio University

キーワード :

【緒言】
横隔膜弛緩症とは,横隔膜筋線維の形成不全により生じる先天性横隔膜異常であり,横隔膜の先天異常のうち約5%と稀な疾患である.今回我々は超音波検査を契機としてMRI検査で胎児期に診断に至った横隔膜弛緩症の症例を経験した.
【症例】
41歳未産婦,凍結融解胚盤胞移植により妊娠成立した.妊娠20週の胎児超音波検査では心四腔断面像にて胎児の心臓の偏位は認めなかったが,妊娠30週0日の同検査で心四腔断面像にて心臓の左方偏位を認めた.胸腔内占拠性病変の存在を疑い精査を行ったところ,冠状断にて肝臓が胸腔内に挙上している所見を認めた.observed/expected lung to head ratioは80%であった.右横隔膜ヘルニアまたは右横隔膜弛緩症の疑いで周産期センターへ紹介した.MRI検査にて肝臓の胸腔内脱出を認め,横隔膜の連続性を確認できたことから右横隔膜弛緩症と診断した.妊娠38週0日に子宮筋腫核出術後妊娠のため,選択的帝王切開術で分娩した.児は自発呼吸が弱く挿管管理を行ったが,日齢5で抜管,その後は保存的に加療を行い,待機的に根治手術の予定である.
【考察】
横隔膜弛緩症は胎児期の超音波検査では横隔膜ヘルニアと類似した所見を呈するが,横隔膜の欠損はなく,予後は横隔膜ヘルニアより良好である.胎児期診断は,心臓の左右への偏位が契機となることが多い.右横隔膜ヘルニアは左横隔膜ヘルニアよりも胎児期の診断率が低い.右横隔膜弛緩症についても胎児期に診断された報告は少なく,出生後に診断された症例や,胎児水腫を契機に診断された症例が報告されている.本症例では妊娠30週の超音波検査時に心臓の左方偏位を認めたことを契機として右横隔膜ヘルニアまたは右横隔膜弛緩症を疑い,MRI検査で確定診断に至った.心臓の偏位を認めた際には胎児肺病変の存在を疑い,超音波およびMRIでの精査を行うことが望ましい.