Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
脾臓/消化管/その他/症例

(S841)

完全寛解時の悪性リンパ腫における反応性腸間膜リンパ節

Reactive mesentery lymph node in the malignant lymphoma at the time of the complete remission

吉岡 ふみ, 松野 徳視, 三栖 弘三, 宮崎 さや子, 西浦 明穂, 安江 智美, 仲尾 美穂, 井岡 達也, 蘆田 玲子, 大川 和良

Fumi YOSHIOKA, Noritoshi MATSUNO, Kouzou MISU, Sayako MIYAZAKI, Akiho NISHIURA, Tomomi YASUE, Miho NAKAO, Tatsuya IOKA, Reiko ASHIDA, Kazuyoshi OOKAWA

1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター検診部, 2河内友紘会河内総合病院内科, 3地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科, 4地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター臨床検査科, 5地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター肝胆膵内科

1Examination department Gastrointestinal Cancer Screening and Surveillance, Osaka international cancer Institute, 2Internal medicine, kawachi general hospital, 3Clinical inspection department, Osaka international cancer Institute, 4Clinical inspection department, Osaka international general medical center Hospital, 5Hepatobiliary and Pancreatic Oncology department, Osaka international cancer Institute

キーワード :

【目的】
腹腔内の良性リンパ節腫大としては慢性肝炎時の総肝動脈周囲のリンパ節腫大が知られているが,悪性リンパ腫(ML)の完全寛解期の症例については報告されていない.MLの一部は,H. pylori胃炎や橋本病のような慢性抗原性や炎症性刺激の結果として起こると思われており(Kulkarni NM AJR Am J Roentgenol. 2017),消化管はリンパ組織の多い組織で,慢性炎症があれば,腸間膜リンパ節が腫大すると考えられる.MLの寛解時に特異的といえるリンパ節腫大が認められるかどうかを検討した.
【対象】
2014年から2016年にかけて総肝動脈周囲のリンパ節の有無を確認できた完全寛解(CR)ML(非ホジキンリンパ腫)103例,その内訳は濾胞性リンパ腫(FL)41例 びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)44例MALTリンパ腫例(MALT)16例その他2例述べ検査件数289回の検査結果を対象とした.非MLである対照は腹部エコー検査を受けた74例で基礎疾患は肝胆嚢疾患47例膵疾患15例胃疾患9例その他15例このうち癌術後などが25例存在した.非MLの対照は2017年と2016年に検査を受けており,特に変化のない症例で,延148件の検査を対照とした.
【方法】
MLはリンパ節精密検査で総肝動脈周囲のリンパ節を確認できた症例で,継時的に検査された過去の時期の寛解時の検査も含めて検討した.対照は継時的な2回の検査結果を使用した.
【結果】
1)各リンパ節の陽性頻度は①腸間膜リンパ節 については,ML20/103例19%vs対照1/74例1%,②総肝動脈周囲のリンパ節については, ML 10例10%vs対照10例14%,③傍大動脈周囲リンパ節については,ML 2例2%vs対照1例1%であり,腸間膜リンパ節においては,カイ2乗検定で有意(P<0.001)にMLで頻度が高かった.
2)陽性例のリンパ節の大きさは,①腸間膜リンパ節ではML平均16×10×5mm vs対照8.8×6.5×3.8mm, ②総肝動脈周囲のリンパ節についてはML平均14.4×9.5×4.0mm,vs対照14.3 ×10.3×5.0mm,③傍大動脈周囲リンパ節についてはML平均20×14×4mm,vs対照11×6×4mm,で扁平なリンパ節であった.
3)さらに疾患を種類別に見たところ①腸間膜リンパ節は,MLではFL15例14%,DLBCL4例4%MALT1例1%その他1例に対して,対照では1例1%遠位胆管癌術後,②総肝動脈周囲のリンパ節は,MLでは,FL3例3%,DLBCL4例4%,MALT2例2%その他1例に対して,対照では肝胆疾患7例15%であった.腸間膜リンパ節はMLでも特にFLに有意(P<0.05)に多かった.
【結論】
CR期の腸間膜リンパ節はMLの中でもFLにおいて特異的に頻度が高かった.
MLのCR期の状態において,総肝動脈周囲のリンパ節よりリンパ組織のパイエル板のある腸間膜リンパ節が多いかどうかはMLの肝炎合併頻度を検討する必要があると思われる.