Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道/膵臓/症例

(S833)

腹部超音波検診における胆石新規発生例の臨床的特徴

Clinical characteristics associated with the incidence of gallbladder stones in health checkup subjects

藤田 剛, 菅原 悦子, 宮永 靖子, 杤谷 四科子, 松井 佐織, 渡辺 明彦, 菅原 淳, 向井 秀一

Tsuyoshi FUJITA, Etsuko SUGAHARA, Yasuko MIYANAGA, Shinako TOCHITANI, Saori MATSUI, Akihiko WATANABE, Atsushi SUGAHARA, Hidekazu MUKAI

1淀川キリスト教病院健康管理科, 2淀川キリスト教病院消化器内科

1Department of Health Care, Yodogawa Christian Hospital, 2Deparment of Gastroenterology, Yodogawa Christian Hospital

キーワード :

【目的】
腹部超音波検診において無症候性の胆石がしばしば発見されるが,発生頻度についての報告は少ない.今回我々は,腹部超音波検診受診者における胆石新規発生例の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】
2008年4月から2015年2月までに,CTによる内臓脂肪量検査と腹部超音波検診を複数回行った検診受診者を対象とした.調査期間内の最初の検診を登録時検診,最後の検診を経過観察時検診とした.登録時の腹部超音波検診にて胆石を認めず,経過観察時に胆石を認めた症例を胆石新規発生例と定義し,胆石新規発生に関与する臨床的特徴を検討した.
【結果】
対象症例1411例(男性958例,女性453例,平均年齢54.2歳)のうち登録時に胆石を認めたものは72例(5.1%)であった.登録時に胆石を認めなかった1339例(男性909例,女性430例,平均年齢54.0歳)のうち,軽観察時検診(平均観察期間804.7日間)において18例(1.3%)に胆石の新規発生を認めた.新規発生の有無における臨床的特徴の比較では,新規発生例は男性に多く(88.9%対67.6%, p=0.0547),登録時および経過観察時の内臓脂肪量が150cm2以上である頻度が有意に高かった(登録時:33.3%対15.2%, p=0.0347, 経過観察時:38.9%対16.2%, p=0.0100).また登録時の喫煙が有意に少なく0%対18.3%, p=0.0452),登録時の腹部超音波検査で脂肪肝を有意に多く認めていた(66.7%対41.6%, p=0.0326).経過観察期間における胆石新規発生の生存時間分析での解析においても,登録時の脂肪肝の有無で有意差を認めた(p=0.0305, ログランク検定)
【結論】
腹部超音波検診受診者における胆石の新規発生は年間0.61%であった.胆石の新規発生には多い内臓脂肪量や脂肪肝が関係していたことから,メタボリック症候群の関与が考えられた.