Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
肝臓/胆道/膵臓/症例

(S830)

当科における肝細胞癌のRFA適応基準と全身麻酔下RFAの現状

Indication of RFA for hepatocellular carcinoma and RFA with general anesthesia in our institude

山下 信吾, 片桐 聡, 有泉 俊一, 小寺 由人, 五十嵐 悠一, 高山 敬子, 徳重 克年, 江川 裕人, 山本 雅一, 斎藤 明子

Shingo YAMASHITA, Satoshi KATAGIRI, Shyunichi ARIIZUMI, Yoshihito KODERA, Yuuichi IGARASHI, Keiko TAKAYAMA, Katutoshi TOKUSIGE, Yuuto EGAWA, Masakazu YAMAMOTO, Akiko SAITO

1東京女子医科大学消化器・一般外科, 2東京女子医科大学消化器内科, 3日本赤十字社医療センター消化器内科

1Department of Surgery, Institute of Gastroenterology, Tokyo Women's Medical University, 2Department of internal medicine, Institute of Gastroenterology, Tokyo Women's Medical University, 3Department of internal medicine, Institute of Gastroenterology, Japanise red cross medical center

キーワード :

全身麻酔下RFAは,無痛治療の提供と共に,麻酔科医の呼吸コントロールにより,穿刺焼灼時の良好な視野確保が可能となる.1998年以来,当院では全身麻酔下RFAを肝癌局所治療の1つとして積極的に行ってきた.RFA適応は,腫瘍径,腫瘍個数の他に肉眼型を考慮し施行している.1990年代の肝部分切除における臨床病理学的検討から3cm未満HCCであっても,単純結節周囲増殖型の予後は悪く門脈浸潤も多いことより,RFAが可能なHCCは≪3cm未満,単純結節型,境界不明瞭型≫とした.今回,これまでのRFA群と肝切除(HR)群の治療成績を比較することで,RFAの適応基準が妥当か否か検証した.また,全身麻酔下RFAについて現状を報告する.
<方法>
1999年から2011年の13 年間に施行した直径3 cm 未満単発肝細胞癌に対して行われた初回治療群441症例中,肝切除症例(n=283),RFA症例(n=158)について,無再発生存期間,生存期間を比較した.また,全身麻酔下RFAにおける術中有害事象の有無について調査した.
<結果>
RFA症例およびHR症例の腫瘍径(平均±SD)は,1.9±0.5 cm, 2.1±0.6 cmであった.切除標本における病理肉眼型は,境界不明瞭型,単純結節型(SN),単純結節周囲増殖型,多結節癒合型が含まれていた.肝切除術式は,部分切除,亜区域切除,区域切除,葉切除の術式が選択されていた.背景因子として,ICGR15がRFA群で高い傾向にあったが,そのほかの因子に有意な差は認めなかった.RFA群, HR群の5年無再発生存率は,33.1%, 35.8%,5年生存率は,70.2%, 69.5%であった.SN型,境界不明瞭型における両群の比較では,5年無再発生存率は,37.8%,33.1%,5年生存率は82.0%,70.2%であった.ともに有意差は認めなかった.また,全症例にて術中有害事象は認めなかった.
<結語>
当科におけるRFA適応基準範囲内において,RFAの初回治療成績はHRと同等であり,適応基準は妥当と考えられた.また,全身麻酔下RFAは安全に無痛にて施行可能であった.