Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
肝臓/胆道/膵臓/症例

(S830)

DAA導入時に肝癌を有した症例の臨床像~超音波検査サーベイランス啓蒙の重要性~

Hepatocellular carcinoma as of introduction of DAA therapy
~The importance of surveillance with ultrasonography~

越智 麻理絵, 平岡 淳, 泉本 裕文, 植木 秀太朗, 北畑 翔吾, 相引 利彦, 奥平 和成, 山子 泰加, 二宮 朋之, 道堯 浩二郎

Marie OCHI, Atsushi HIRAOKA, Hirofumi IZUMOTO, Hidetaro UEKI, Shogo KITAHATA, Toshihiko AIBIKI, Kazunari OKUDAIRA, Hiroka YAMAGO, Tomoyuki NINOMIYA, Kojiro MICHITAKA

愛媛県立中央病院消化器病センター内科

Gastroenterology Center, Ehime Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景・目的】
C型肝炎(HCV)に対するDAA(Direct-acting Antiviral Agents)治療導入目的で肝疾患専門病院への患者紹介が増加しているが,受診時に肝癌(HCC)が見つかる症例が少なからず存在する.それらの臨床像と背景を明らかとする.
【対象・方法】
2016年4月から2017年8月の間に,肝癌治療歴の無いHCV感染患者に対して,DAA療法導入目的にて当院へ紹介受診となった96例.そのうち,当院初診時の腹部超音波検査(US)にてHCCを診断された症例の臨床像と,紹介までの画像サーベイランスの有無について後方視的に検討した.
【結果】
7例でHCCが指摘された(7.3%).7症例中全例で,何らかの内科疾患にて紹介元の医療機関に定期通院歴があり,また以前よりHCV感染を指摘されていた.うち1例は初診時の6か月前に画像検査を施行されていたが,病変の指摘はされなかった.他の6例では定期的な画像検査は施行されていなかった[(男:女=6:1,平均年齢 71.9±8.4歳,65歳以上 6(85.7%),Child-Pugh 分類 A:B=6:1,Plt 14.6±4.3×104/L,FIB-4 index 6.1±6.3,HbA1c 5.6±0.5 %,AFP 5497.6±13530.3 ng/mL,PIVKA-II1239.6±3092.8 mAU/mL,HCV-RNA量 5.7±0.8 Log IU/mL)].診断されたHCCは,腫瘍径29.0±20.3mm,単発:多発=3:4,stage I:II:III:IVa=1:2:3:1.HCCに対する治療は手術:RFA:TACE=2:2:3であった.また,HCC症例を除く89例中5例(5.6%)において初診時のUSで前癌病変が指摘された.うち,2例で経過観察中にHCCを発症していた.
【結語】
DAA治療導入目的で紹介されたHCV患者の7.3%で,初診時のUSにてHCCを診断した.進行多発癌で診断された症例も少なくなく,いずれも紹介前にHCVの存在を指摘されていながら,USによる画像検査サーベイランスが不十分であった.かかりつけ医・患者に対して,USによるサーベイランスの重要性を啓蒙する必要がある.