Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
肝臓/症例

(S827)

自然壊死を来した肝細胞癌の1例

A case of spontaneous necrosis of hepatocarcinoma

髙木 慎太郎, 森 奈美, 辻 恵二, 古川 善也

Shintaro TAKAKI, Nami MORI, Keiji TSUJI, Yoshinari FURUKAWA

広島赤十字・原爆病院消化器内科

department and gastroenterology, Hiroshima Red Cross and Atomic-bomb survivors hospital

キーワード :

【症例】
62歳 男性
【現病歴】
高血圧,めまい症のため前医に通院中であったが,肝障害を認めたため精査目的に腹部エコーを施行,肝外側区域に占拠性病変を認め,CTやMRIにおいても肝S3に占拠性病変を認め精査目的に200X年7月に当科を紹介受診した.生活歴:飲酒:焼酎1~2合/日×5年以上 前医受診後は禁酒 喫煙:20本×40年血液生化学検査所見では,γ-GTP64U/Lを認めたものの,ほか特記所見は認めなかった.腫瘍マーカーは,AFP,PIVKAII,CEA,CA19-9はいずれも陰性であった.また,肝炎ウイルスマーカーはいずれも陰性,抗核抗体,抗ミトコンドリア抗体も陰性であった.腹部超音波(US):肝S3に18mm大の類円形,境界明瞭平滑な内部不均一な低エコーの腫瘤を認めた.腹部造影超音波(CEUS):血管相,動脈優位相で腫瘍辺縁内部の低エコー部が部分的に周囲から造影された.一部には造影効果は認めず低エコーのままの部位をみとめた.門脈優位相でも造影効果は同部位のみでwash outは認めず低エコー部に造影はが,後血管相では,境界明瞭な欠損像を呈した.腹部造影CT:肝S3に18mm大の腫瘤を認め,内部の大部分は低吸収域を認めあきらかな造影効果はなく壊死を伴っていると考えられた.しかし,辺縁の一部の結節部がやや淡い濃染を示し,門脈相ではwashoutを認め,平衡相では辺縁の濃染がみとめられ被膜様構造を伴っていた.腹部Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)所見:T1wight image(WI)in phaseで低信号,T1WI out phaseでも低信号を示し脂肪抑制は認めず,T2WIで低信号,造影EOB-MRIでは動脈相で結節部の一部のみ造影効果をみとめ大部分には造影効果は認めなかった.また,diffusion weight image(DWI)では高信号を示し,肝細胞相では境界明瞭な全体が低信号を認めた.以上より,一部に造影効果を認める壊死を伴う多血性肝細胞癌を術前に考え,腹腔鏡下肝S3部分切除術を施行した.
切除標本肉眼所見:肝S3腫瘤は直径15mm,被膜を有し,大部分壊死組織を伴う膨隆性の灰白色黄色調の腫瘤で,肝癌の肉眼形は多結節癒合型であった.組織学的所見:肝腫瘍には内部に結節状の部位に中分化型で泡沫状の豊富な細胞質を有すhepatocellular carcinomaを認めた.腫瘍全体のおよそ3分の2が壊死に陥っていた.腫瘍周囲には慢性炎症細胞の浸潤を伴い被膜形成を認めた.
【考察】
自然壊死をきたした肝細胞癌と考えられる一例を経験した.一般に肝細胞癌は,肝動脈のみにより栄養されることが多く自然壊死がおこりやすく,術前未治療のHCC切除例において,50%以上90%未満の中等度壊死例は5%,90%以上の高度壊死例は2%との報告がある. 造影超音波は,自然壊死した肝細胞癌においても多血性変化をよく示し,診断に有用な検査法と考えられた.