Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
血栓・腫瘍

(S819)

腫瘍と血栓の鑑別が困難であった多発左房内腫瘤の一例

A case of multiple large mobile thrombus mimicking myxoma in the left atrium

松本 讓, 太田 光彦, 金 基泰, 北井 豪, 加地 修一郎, 角田 敏明, 紺田 利子, 谷 知子, 小山 忠明, 古川 裕

Yuzuru MATSUMOTO, Mitsuhiko OTA, Kitae KIM, Takeshi KITAI, Shuichiro KAJI, Toshiaki SUMIDA, Toshiko KONDA, Tomoko TANI, Tadaaki KOYAMA, Yutaka FURUKAWA

1神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科, 2神戸市立医療センター中央市民病院心臓血管外科, 3神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 4神戸市看護大学専門基礎科学領域医科学分野

1Cardiology, Kobe City Medical Center General Hospital, 2Cardiovascular Surgery, Kobe City Medical Center General Hospital, 3Clinical Laboratory, Kobe City Medical Center General Hospital, 4Medical Science, Kobe City College of Nursing

キーワード :

【症例】
70歳代男性
【病歴】
来院の約1年前に紹介医にて,心房細動を初めて指摘された.抗凝固薬としてワルファリンを処方されていたが,自己中断していた.その後,胃癌術後慢性期の経過観察目的に施行した造影CTで左房内腫瘤を指摘されたため,当院に紹介受診となった.CT上は,左心耳入口部と左房前壁にそれぞれ約3cm大と約2cm大の造影効果を認めるポリープ状の腫瘤を2個認めた.経食道エコー図にて腫瘤を詳細に観察したところ,いずれも内部エコーは不均一で,有茎性で可動性を有していた.なお左房内にもやもやエコーは認めなかった.カラードプラ上は腫瘤内部に拡張期優位の血流シグナルを認めた.冠動脈造影を施行したところ,冠動脈からの側副血行により腫瘤が球状に造影された.左房粘液腫の可能性も否定できなかったが,左房内血栓を第一に疑い,ワルファリンを投与開始して約1週間後に経胸壁心エコー図を施行した.しかし,左房内腫瘤のサイズに明らかな縮小を認めなかったことから,心臓血管外科とも協議の上,塞栓症のリスクを考慮し準緊急的に外科的腫瘤摘除術を行った.術中肉眼所見上は左房粘液腫と血栓の鑑別が困難であったが,病理組織診断上は2つの腫瘤はいずれもフィブリンを主体とする血栓であり,腫瘤基部側では一部器質化が認められた.また腫瘍性病変の可能性を除外するため免疫染色も追加で行ったが,間質細胞の増生を示唆するような所見はいずれも認めなかった.
【結語】
各種画像検査にて腫瘍と血栓の判別が困難であった巨大多発性左房内腫瘤の一例を経験したので報告する.