Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
血栓・腫瘍

(S817)

当院の肺塞栓症例の心臓超音波による検討および追跡

Echocargiographic follow up of Pulmonary Embolism

森田 康弘, 森島 逸郎, 高木 健督, 吉田 路加, 神崎 泰範, 永井 博昭, 坪井 英之

Yasuhiro MORITA, Itusro MORISHIMA, Kensuke TAKAGI, Ruka YOSHIDA, Yasunori KANZAKI, Hiroaki NAGAI, Hideyuki TSUBOI

大垣市民病院循環器内科

Department of Cardiology, Ogaki municipal Hospital

キーワード :

【目的】
肺塞栓はかつてはまれな疾患とされてきたが近年食生活の欧米化や診断法の発達により近年確実に増加している.また一部は慢性化し慢性血栓塞栓性肺高血圧になることが知られている.肺塞栓の長期経過については未だ不明であり複数の研究がなされている.今回は大垣市民病院における肺塞栓の経過を心臓超音波を用いて追跡した.
【方法】
2007年の大垣市民病院電子カルテ導入以降に発症した国際疾病第10版I269の病名(肺塞栓症,肺動脈血栓症など)の登録されている症例を抽出し各種測定値を検討した.
【結果】
電子カルテより抽出したI269病名3699名中,疑いを除く確定病名は482名であり151名で急性期に心臓超音波による評価を行っていた.
症例群は男性63名(41.7%),発症時平均年齢67.6+/-16.3歳であった.
急性期の心臓超音波所見では平均LVEF66.5+/-9.2%,LVDd 44.9+/-7.3mmであり左心機能には異常を認めず,右心負荷の指標である三尖弁圧格差(TRPG)は中央値30.3mmHg(IQR 22.8-45.3), TRPG>=40mmHgの症例は49名(32.5%)であった.54名で慢性期に再評価が行われておりTRPGは中央値 25.1mmHg(IQR 21.3-30.4)と低下を来していたが,8名(14.8%)ではTRPG>=40mmHgであった.
急性期より慢性期のTRPGが増加していた症例は1例のみであった.
【結論】
肺塞栓急性期では右心負荷の増大を認めるものの慢性期には低下を来していた.しかしながら8名では慢性期においてもTRPG 40mmHg以上であり慢性血栓塞栓性肺高血圧に進展する可能性があるものと思われた.
今回の検討では慢性期の計測がなされている物は30%程度にとどまっており肺塞栓の経過が不明といわれる現状が示された.
今後は肺塞栓の確実な追跡が必要であると考えられる.