Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
その他 1

(S805)

高齢者救急診療における基本手技としての心臓超音波検査の重要性

Importance of Echocardiographic Assessment as Basic Clinical Technique for Geriatric Emergency Care

加藤 雅也, 原田 和歌子, 永井 道明, 香川 英介, 國田 英司, 小田 登, 土手 慶五

Masaya KATO, Wakako HARADA, Michiaki NAGAI, Eisuke KAGAWA, Eiji KUNITA, Noboru ODA, Keigo DOTE

1広島市立安佐市民病院内科・総合診療科, 2広島市立安佐市民病院循環器内科

1Department of Internal and General Medicine, Hiroshima City Asa Hospital, 2Department Cardiology, Hiroshima City Asa Hospital

キーワード :

当院は広島県北西部から島根県南部の広域医療圏における中核的総合病院として高度急性期医療を提供しているDPC II群病院であるが,当地域の高齢化率は極めて高く,救急入院患者の多くが高齢者である.
当院の内科も専門分化しており,内科の各診療科は専門医療に力を注いでいるが,当院の救急患者受け入れ窓口である救急処置室では,内科および総合診療科の上級医と若手医師,初期臨床研修医が常駐し,ジェネラリストとして平日日中の救急総合診療にあたっている.
2016年度の救急入院患者の68.3%が高齢者,46.3%が後期高齢者であった.当科に緊急入院した急性心不全患者809例のうち,75歳以上の心不全患者は女性,貧血,脳梗塞の既往,弁膜疾患が有意に多く,糖尿病,脂質異常,喫煙といった代謝性因子は少なかった.従来の報告通り左室駆出率は保たれており(46±13% vs. 39±15%, p<0.0001),左室拡張末期径は小さかった(50±9mm vs. 56±11mm, p<0.0001).
このような拡張不全心の診断には心臓超音波検査が必須であるが,感染症,炎症,貧血などの増悪因子の精査・加療は循環器専門医だけでなくすべての分野の内科医,総合診療医が行うべきものである.経過中の心機能評価において,弁膜疾患の病態や重症度,虚血性心疾患の局所壁運動評価などの詳細な評価は循環器専門医が行うべきだが,増悪因子コントロール後の基本的パラメターの評価は一般内科医,総合診療医も修得すべきと考えている.その理念のもと,当院では循環器内科医はもちろん,総合診療科の若手医師も心臓超音波検査を必須カリキュラムとしている.
少子高齢化する我が国において,限られた医療資源を有効に使うためには,常にジェネラリストの視点をもつべきであり,心臓超音波検査はその必須ツールである.当院の内科・総合診療科診療における心臓超音波検査の位置づけ,若手医師への教育体制を紹介し,全国の臨床教育施設,臨床総合病院の先生方と議論したい.