Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
その他 1

(S804)

バルサルバ洞に突出する冠動脈ステントが心エコー図検査で描出された一例

A case of the protruding coronary stent into the Sinus of the Valsalva

福山 雄介, 沼口 宏太郎, 田中 伊都子, 安達 知子, 畠 伸策

Yusuke FUKUYAMA, Kotaro NUMAGUCHI, Itsuko TANAKA, Tomoko ADACHI, Shinsaku HATAKE

1NHO九州医療センター循環器内科, 2NHO九州医療センター検査科

1Cardiology, NHO Kyushu Medical Center, 2Clinical Laboratory, NHO Kyushu Medical Center

キーワード :

症例は80代男性.19XX年に他院で労作性狭心症(EAP)に対して冠動脈造影検査が行われ,左前下行枝完全閉塞を含む3枝病変と診断された.その後,内服加療で経過観察されていたが,11年後にEAPの増悪のため,右冠動脈(RCA)#1,#4,左冠動脈回旋枝に冠動脈ステントの留置が行われた.この8年後の今回,EAPの再燃を生じ当科に再紹介となった.
経胸壁心エコー図検査で, バルサルバ洞に高エコー輝度の構造物を認めた.高エコー輝度構造物は胸骨左縁短軸像で右冠尖(RCC)側よりに円形を呈し,同長軸像では大動脈内に筒状に突出しているように観察された.心臓CT検査や経食道心エコー図検査でも,同様にRCCに突出する構造物が描出され,RCAに留置されたステントの突出と判断された.経食道心エコー図検査での計測では9.7mmの突出を認めていた.
造影や透視画像での冠動脈入口部の正確な同定が難しく,また呼吸に伴う変動などもあり,冠動脈の他部位にステント留置する際とは異なる注意を要する.実臨床では,冠動脈ステントがバルサルバ洞に突出することは珍しくない.一方,稀ながら,突出したステントによる弁尖の穿孔やステントフラクチャーによる塞栓症などを生じることも報告されている.
今回,ステント留置後8年後の心エコー検査にて,バルサルバ洞へ突出したステントを良好に描出・指摘できた一例を経験したので報告する.上記のような合併症の報告もあり,今後も定期的な経過観察が必要と考えられた.