英文誌(2004-)
一般ポスター 循環器
弁膜症
(S800)
重症僧帽弁閉鎖不全症に対して超低侵襲治療にて手術回避となった症例
The case that became the operation evasion by super low aggression treatment for a severe mitral valve regurgitation
藤岡 慎平, 磯谷 彰宏, 森永 崇, 矢野 真理子, 森 信太郎
Shimpei FUJIOKA, Akihiro ISOTANI, Takashi MORINAGA, Mariko YANO, Shintarou MORI
小倉記念病院循環器内科
cardiology, Kokura memorial hospital
キーワード :
重症の僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する標準治療は手術であるが,一方で特定の病態においては手術に至ることなく逆流が大きく軽減することも経験される.今回,当院では内服治療で重症MRを治療しえた症例を経験したため報告する.72歳・女性,労作時の息切れ(NYHAⅡ度)を主訴に受診し,経胸壁心エコーにて中等度-重症MR(ERO 0.35cm2,RV 57ml)を認めた.来院時より心房細動(発症時期不明)を有しており,経食道心エコーにて弁輪拡大によるfunctional MRの診断となり,手術の方針となった.術前待機の間に心房細動に対してアミオダロンを開始したところ洞調律化し1ヶ月でMRは軽度まで改善して症状も消失した.僧帽弁に対して経食道心エコー図にて弁輪の形態・径の変化を確認したところ,拡張期の3Dデータ解析で横径(32.5mm→33.3mm)の変化に比し,縦径(31.2mm→24.1mm)の明らかな縮小が観察された.さらに収縮期の弁輪データ解析では図のように弁輪の高さの増高が認められ,平坦な円状に変形していた弁輪が正常の立体的な馬蹄形構造を取り戻したことが観察された.
今回経験した症例は心房細動が洞調律化したことで左房のreverse remodelingが起こり弁輪形態の正常化に伴ってMRが軽快したものと考えられた.心房細動に伴うfunctional MRに対して手術適応があったとしても,まずは超低侵襲な方法も治療手段となる可能性がある.経食道心エコーにて形態変化を捉えることができたため報告する.