山田 桂嗣, 大星 麻衣, 宮崎 晋一郎, 末澤 知聡, 関 勇輔, 中村 将基, 幾野 毅, 榊原 裕, 西村 和修

Keiji YAMADA, Mai OBOSHI, Shinichirou MIYAZAKI, Chisato SUEZAWA, Yusuke SEKI, Masaki NAKAMURA, Takeshi IKUNO, Yutaka SAKAKIBARA, Kazunobu NISHIMURA

¹高松赤十字病院循環器科, ²高松赤十字病院心臓血管外科

¹Department of Cardiology, Takamatsu Red Cross Hospital, ²Cardiovascular Surgery, Takamatsu Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
慢性期にある重症大動脈弁閉鎖不全症の手術の至適時期を判断することは難しい．我々は重症大動脈弁閉鎖不全症の至適手術時期を検討した．
【方法】
対象は36例の重症大動脈弁閉鎖不全症の患者．全例に経胸壁心エコー図検査で診断し，中等度以上の他の弁膜症を有する症例は除外した．心不全既往のある症例も除外した．診断後，平均1年間フォローし，全例に大動脈弁置換術を施行された．大動脈弁置換術が施行された1年後に，術前の以下の項目を評価した．経胸壁心エコー図検査では左室駆出率（Left ventricular ejection fraction ; LVEF）, E/e’, 左室拡張末期容積（LV end-diastolic volume ; LVEDV）, 左室収縮末期容積（LV end-systolic volume ; LVESV）, 圧半減時間（pressure half time ; PHT）など．血液検査ではNT-proBNPなどを評価した．逆リモデリングを来した12症例（LVEDVの低下が25％以上）と逆リモデリングを来さなかった24症例（LVEDVの低下が25％未満）に分類し，2群間で臨床的特徴を比較した．
【結果】
逆リモデリングを来さなかった群では，E/e’は上昇しており，一方で，LVEFおよびNT-proBNPは2群間で差を認めなかった．単変量解析ではE/e’は逆リモデリングと関係していた．年齢，BMI，LVEFおよびNT-proBNPで補正後も，E/e’とLVEDVの減少は有意に相関していた．
【結語】
E/e’は慢性期の重症大動脈弁閉鎖不全症の至適手術時期の予測因子になりえる．