英文誌(2004-)
一般ポスター 循環器
弁膜症
(S796)
大動脈弁狭窄症に対する薬物の重症度軽減効果と左房リモデリング抑制効果
Medication Effect on the Severity of Aortic Valve Stenosis and Left Atrial Remodeling Evaluated by Echocardiography
藤井 裕子
Hiroko FUJII
板柳中央病院循環器内科
Department of Cardiology, Itayanagi Central Hospital
キーワード :
背景と目的:
大動脈弁狭窄症は,心雑音や心電図異常の精査目的の心エコー図検査でしばしば診断される.そのほとんどは,高血圧症,心房細動,狭心症などの治療がすでに行われていることがしばしばである.本研究では,心血管病の治療薬の大動脈弁狭窄症への効果を検討した.
方法:
心雑音や心電図異常を指摘され,心エコー図検査を行うこととなり,大動脈弁狭窄症と診断された症例について,ACC/AHAガイドラインに従ったパラメーターを用いて,その重症度評価を行った.大動脈弁狭窄症の重症度を,利尿薬,カルシウム拮抗薬,β遮断薬,ACE阻害薬,及び,ARBの非治療群と治療群間で比較した.また,左房の容積及び圧負荷と重症度との関係を検討した.
結果:
β遮断薬は有意に大動脈弁最大血流速度, 及び連続式による大動脈弁口面積の狭窄度を軽減した.速度比[流出路/狭窄弁口]は治療薬の効果を受けにくいパラメータであった.推定左房圧や左房容積は,内服治療の経過や左室肥大の有無等でばらつきはあるが,約半数において,大動脈弁口面積と負の相関関係を示した.
結論:
β遮断薬は,圧負荷軽減を介して,大動脈弁狭窄症の機能的重症度を軽減し,また,左房のリモデリング抑制効果が示唆された.また,速度比[流出路/狭窄弁口]は治療薬の影響を受けにくい指標の可能性が示唆された.