Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
健診

(S782)

巡回検診の腹部超音波所見にカテゴリー判定を記入して分析した結果について

On the results of analyzing by filling in the category judgment on abdominal ultrasonic examination of a screening inspection

福井 基裕, 伊藤 昌子, 松本 伯実, 竹内 芳男

Tsunehiro FUKUI, Masako ITOU, Hiromi MATSUMOTO, Yoshio TAKEUCHI

医療法人社団五香会ケイエスクリニック

KS clinic

キーワード :

【目的】
当院が施行している巡回健診の腹部超音波検査を受診した5176名を対象に,腹部超音波健診判定マニュアルに沿ってカテゴリー分類を記入することにより,技師の記録した所見との乖離がないかを検討した.
【方法】
カテゴリー分類は技師が記録した写真および所見をもとに,あとから判定医師がマニュアルに沿って,それぞれの所見について記入したが,疑問がある場合には動画を見直して検討した.
【結果】
技師が記録した所見とカテゴリー判定で記入した所見が乖離した例が,5例認められた.
そのうち,4例に関しては,胆のう壁肥厚像との記録であったが,動画を確認したところ壁の層構造・小嚢胞構造,コメット様エコーが認められたため,胆嚢腺筋症に変更した.
さらに,1例に関しては,右腎腫瘍との記録であったが,写真および動画判定により,嚢胞成分が主体で隔壁の肥厚が認められることより,嚢胞性腫瘍に変更した.
なお,腎腫瘍との記録は4例認められたが,1例は内部無エコー域と側方陰影を伴っており,カテゴリー5の判定で至急精査とした.
【考察】
今回の結果は,技師が記録した所見をもとにして,retrospectiveにドクターがカテゴリー分類をあてはめており,担当した技師はカテゴリー分類を意識して所見を記録していません.従って,今後は検査担当技師にもカテゴリー分類についての教育をおこなった上で,技師の記録したカテゴリーとドクターの判断したカテゴリーとの乖離を調べる必要性が考えられます.
また,今回の結果は,各臓器ごとのカテゴリー分類の分布については示すことができたが,それに伴った判定区分の変化については評価していません.
今後は,カテゴリー分類を導入した場合における判定区分と,導入していないときの判定区分を比較して,有所見率および要精検率の変化についても評価する必要性が考えられます.
【結論】
今回の分析結果により,カテゴリー分類を記入することにより,技師による所見のバラつきを少なくして,腹部エコー検査の精度を高めることができると考えられる.
そのためには,判定ドクターがあとからカテゴリー分類を記入するだけでなく,技師が検査を終えた段階で,カテゴリーを記録するのが望ましいと考えられる.
ただし,技師の負担を減らすためには,巡回健診の現場におけるデジタル記録の導入と,それぞれの健診機関および健保組合ごとのエコー検査の判定基準の統一化と腹部超音波判定マニュアルの普及促進が必要と考えられる.