Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
眼科その他

(S780)

市中病院外科におけるPOCUS導入の経験

Introduction of POCUS in community hospital

杉本 博行, 山中 雅也, 成田 正雄

Hiroyuki SUGIMOTO, Masaya YAMANAKA, Masao NARITA

小牧市民病院外科

Surgery, Komaki City Hosipital

キーワード :

【目的】
近年,point-of-care ultrasonography(以下POCUS)の概念が提唱され,救急・集中治療領域で注目されている.消化器外科領域での報告は少ないが,昨年の本学会で外科周術期管理への応用およびその有用性について報告した.今回あらたに市中病院一般外科においてPOCUSの周術期管理への導入を試みたので報告する.
【方法】
2017年10月より一般市中病院外科周術期管理へのPOCUS導入を試みた.卒後10年未満の若手外科医9人にPOCUSの概念,測定法につきスライドで説明した後に実際に測定を開始した.術前,術後第1,4,7病日を基本とし,状態に応じ適宜追加し施行,対象部位は既報どおり1)頚静脈,2)肺,3)肝,4)胃・腸管,6)体幹とした.またPOCUS導入3か月後に無記名アンケート調査を行った.
【結果】
導入3か月間で55症例のべ161回のPOCUSを施行した.症例の内訳は胃切除9例,結腸切除13例,直腸切除4例,肝切除3例,膵切除5例,胆摘15例,その他6例であった.若手外科医9人におけるPOCUS導入前の超音波検査回数は5回以下/月が8人であったが,導入後は8人が6回以上/月,うち3人は11回以上/月となった.POCUSの習熟度については8人がなんとかできると回答し,7人が今後も継続したいと回答した.また導入後短期間ではあったが,POCUSが有用であった症例を10例認めた.
【考察】
一般市中病院の若手外科医師においては超音波検査を自ら施行する回数は限られており習熟する機会が乏しい.一方,超音波検査に対する興味はあり,習熟したいという意欲は存在する.周術期POCUSの導入により超音波検査を施行する回数が増加し,実際に術後管理に有用であった症例を経験したものも存在した.習熟の程度においても短期間でほぼできるという回答が多かった.初心者における腹部超音波検査習熟の障害は描出の困難さ,異常所見の解釈の困難さがあるが,対象部位を明確にすることおよび経時的に繰り返し検査することによりそれらの障害を取り除くことが可能であったと思われた.
【結語】
一般市中病院外科においてもPOCUS導入は可能であり,若手外科医の超音波検査習熟に役立つものと思われた.