Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
その他

(S776)

福島県初期研修医に対するアンケートからみるエコーハンズオンセミナーの有用性

Efficacy of Echo Hands on Seminar for Residents in Fukushima

高野 真澄, 大谷 晃司

Masumi IWAI-TAKANO, Koji OTANI

1福島県立医科大学集中治療部, 2福島県立医科大学医療人育成・支援センター

1Intensive Care Unit, Fukushima Medical University, 2Center of Medical Education and Career Development, Fukushima Medical University

キーワード :

【背景】
福島県では,県奨学金制度を利用した研修医は,2年次研修終了までに100件以上の腹部エコー検査を課しているが,各研修施設におけるエコー研修体制は均一ではない.福島県臨床研修病院ネットワーク(18病院)では,所属する初期研修医に対する教育体制を充実させるため,H25年から心エコーハンズオンセミナー,H26年から腹部エコーハンズオンセミナーを開催している.しかしながら,心エコー・腹部エコーハンズオンセミナー開催による研修医習熟度への有用性は明らかでない.
【目的】
福島県臨床研修病院ネットワーク(18病院)に所属する初期研修医に対してアンケート調査を行い,エコー習熟度自己評価の年次推移から,ハンズオンセミナー開催の有用性を検討すること.
【対象】
福島県臨床研修病院ネットワーク(18病院)に所属する2年次初期研修医180名のうち,初期研修終了時のアンケートに回答した150名(2015年 74/98名,2016年76/82名).
【方法】
1)2016年12月および2017年12月に,心エコー・腹部エコーの習熟度についてのアンケート調査を行った.2)心エコー・腹部エコーの習熟度と,福島県臨床研修病院ネットワーク主催心エコーおよび腹部エコーハンズオンセミナーへの参加の有無について検討した.
【結果】
アンケート回収率は,2015年75.5%,2016年92.7%であった.心エコーに関して,1)セミナー受講者では,2015年に比べ2016年では,30件以上の心エコー経験(2015年 vs 2016年:51.7 vs 72.7%),ルーチン検査が可能(40.0 vs 69.6%, P<0.01),急性期診断が可能(33.3 vs 56.5%)および慢性期病態評価が可能(36.7 vs 47.8%)と自己評価する割合が増加した.2)セミナー非受講者においても,2015年に比べ2016年では上記割合が増加傾向があった(ルーチン検査:31.8 vs 48.3%,急性期診断:27.3 vs 45.3%,慢性期病態評価:18.2 vs 37.7%).一方,腹部エコーに関して,1)2年次終了時までに100件以上の腹部エコー経験を有するものが半数を占めていた.2)セミナー受講歴の有無,ルーチン検査,急性期診断および慢性期病態評価が可能か否かについて,2015年と2016年で変化を認めなかった.
【結語】
福島県臨床研修病院ネットワークに所属する初期研修医に対するアンケート調査により,エコー習熟度の年次推移からハンズオンセミナー開催の有用性を検討した.初期研修終了時における心エコーの習熟度は経時的に上昇しており,地域における医療レベル向上にハンズオンセミナーが寄与していると考えられ,研修指定病院における指導体制のさらなる構築が必要である.一方,腹部エコーは習熟度は既に一定のレベルにあり,ハンズオンセミナー開催による寄与は明らかでなかった.