Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
その他

(S776)

当院での初期臨床研修医を対象とした超音波研修の取り組みとその評価

Efforts and evaluation of ultrasonic training for junior residents at our hospital

原田 愛子, 坂本 考弘, 青木 慶仁, 新井 健義, 大庭 雅史, 園田 裕隆, 松井 香奈枝, 松浦 史奈, 岡本 栄祐, 木谷 光博

Aiko HARADA, Takahiro SAKAMOTO, Yoshihito AOKI, Katsunori ARAI, Masafumi OOBA, Hirotaka SONODA, Kanae MATSUI, Fumina MATSUURA, Eisuke OKAMOTO, Mitsuhiro KITANI

1益田赤十字病院初期臨床研修医, 2益田赤十字病院循環器科, 3益田赤十字病院内科, 4益田赤十字病院神経内科

1Junior resident, Masuda red cross hospital, 2Division of cardiology, Masuda red cross hospital, 3Division of internal medicine, Masuda red cross hospital, 4Division of neurology, Masuda red cross hospital

キーワード :

【背景】
エコー検査は非侵襲的かつ簡便に施行でき,多くの情報が取得できる日常診療に必須の検査ツールである.救急外来などで初期診療にあたる研修医も技術の習得が望まれる.しかし日常診療の中では,技術を習得する機会が十分ではないのが現状である.
そのため当院ではエコー検査技術の習得のために,初期研修医を対象に週1回の検査室での超音波検査技師によるエコー研修と月1回の勉強会に取り組んでいる.また,救急外来では研修医が診療で積極的にエコー検査を行うことが推奨されている.その結果エコー検査に触れる機会が増加し,検査への抵抗感の軽減および技術向上に繋がったと考えている.
しかし,当院救急外来における初期研修医のエコー検査の実用の程度や有用性については分かっていないのが現状である.そのため,当院の救急外来におけるエコー検査の実施例の調査と当院のエコー検査研修体制の有用性を検討した.
【方法】
初期研修医11名(1年目7名,2年目4名)が初期診療から関わった全症例についてカルテ記載をもとに集計し,その中より再診及び紹介と小児(15歳以下)を除外したエコー実施症例を2017年5月と11月で検討した.また,初期研修医1年目に対し,半年間における救急外来でのエコー検査の自己評価と当院の研修体制についてアンケート調査を行った.
【結果】
救急外来での初期研修医の総診察数は2017年5月194人,2017年11月で208人であった.その中で再診および紹介,小児患者をそれぞれ除外した120人,140人のうち,エコー実施症例数は5月で27人,11月で29人であった.エコー実施件数の割合としてはどちらも約2割の施行率であり,統計的にも有意差は認めなかった(P=0.652).検査内容としては,5月は腹部9件,胸部9件,FAST(Focused assessment with sonography for trauma)10件,その他1件,11月は腹部10件,胸部15件,FAST2件,その他2件であった.また,エコー施行によって診断に寄与した例としては尿路結石,総胆管結石,イレウス,急性冠症候群等が挙げられた.
アンケート検査は回収率100%であり,初期研修医1年目全員が研修約半年後の11月にはエコー検査をある程度できるという実感を得ており,救急外来のエコー検査ではルーチンもしくは必要と思えば積極的に使用していた.また,研修体制についても非常に良いという回答を得た.
【結論】
当院救急外来において研修医は症例の約2割にエコー検査を実施しており,診断の助けになっていることが示唆された.また,研修医のほとんどが当院でのエコーの研修体制に満足しており,引き続きこの研修を維持していく必要があると考えられた.