Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 血管
動脈硬化

(S768)

高脂血症でのIMT,頸動脈壁弾性特性に対するフェノフィブラートの作用について

Effects of Fenofibrate on carotid arterial IMT, elastic modulus and baPWV in dyslipidemia patients

山岸 俊夫, 金井 浩

Toshio YAMAGISHI, Hiroshi KANAI

1東北公済病院内科, 2東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1Department of Internal Medicine, Tohoku Kosai Hospital, 2Department of Electronic Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】フェノフィブラートは,フィブラート系のPPARαアゴニストで脂質合成に関わるタンパク質の合成を制御し,脂質低下作用を示すとともに,HDL-Cを増加させ,尿酸低下作用も示す.今回,フェノフィブラートのIMT,頸動脈壁弾性特性,脈波伝播速度(baPWV)などに対する作用ついて検討した.
【方法】
高中性脂肪血症(>150mg/dL)を有しスタチンを内服している外来患者44人(平均年齢59才,糖尿病20人,高血圧34人,重複あり)にフェノフィブラート80mgを内服してもらい,生化学データ,脈波伝播速度(baPWV),中心血圧(cSBP),内膜中膜肥厚(IMT)を12ヶ月間観察した.またうち6人でIMTおよび弾性特性(Eθ)の同時測定を行い,頸動脈エコーにて左右の総頸動脈の各2箇所,Bulbを含まない平坦部分について,合計4箇所を計測部位とした.Eθの計測には位相差トラッキング法(Kanai et al. 2003 Circulation)を用い,IMT計測領域にて測定した.
【成績】
投与前のTG ,T-Cho,HDL-C,LDL-C,尿酸,eGFR,baPWV,cSBP,IMT,Eθは,221±120 mg/dL,199±33mg/dL,52±11mg/dL,108±29 mg/dL,6.1±1.1 mg/dL,67±12ml/min/1.73m2, 1529±208cm/sec, 145±19mmHg,1.38±0.56mm, 348±34kPaであった.フェノフィブラート投与12ヶ月後には,TG(-40%),尿酸(-9%)は有意(p<0.05)に低下,HDL-C(7%)は有意に上昇した.cSBP(-4%),baPWV(-5%)は減少傾向であった.一方,頸動脈エコーでのIMT(-5%)は減少傾向,Eθ(-30%)は有意に減少した.またeGFRや肝機能は有意な変化をしなかった.
また血管弾性特性(Eθ)の成分の増分,減分をヒストグラムで解析したところ,薄い部分では,平滑筋の硬さに相当する成分が増えていたことから内皮機能の改善が考えられた.
【結論】
フェノフィブラート製剤は,高脂血症患者において,体表からの超音波による血管弾性特性を有意に変化させた.その機序として,脂質プロファイルや内皮機能の改善を生じうる可能性が示唆された.