Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 血管
動脈疾患

(S766)

SMIを用いた高安動脈炎の活動性評価

Usefulness of SMI for the assessment of disease activity in Takayasu arteritis

佐藤 和奏, 飯野 貴子, 梅田 有里, 新保 麻衣, 渡部 久美子, 渡邊 博之

Wakana SATO, Takako IINO, Yuri UMETA, Mai SHIMBO, Kumiko WATANABE, Hiroyuki WATANABE

秋田大学大学院医学系研究科循環器内科学講座

Cardiovascular Medicine, Akita University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
高安動脈炎の治療戦略を考える上で活動性評価は重要であり,現在そのgolden standard としてFDG-PET/CTが使用されている.また,活動性高安動脈炎では血管炎症に随伴した動脈壁内新生血管が出現することが知られており,最近では造影超音波検査を用いて頸動脈壁内の血管新生を観察する方法が報告されている.しかし,いずれの方法もコストや煩雑さなどfeasibilityに問題があるため,高安動脈炎活動性を評価する新しい診断モダリティが望まれている.近年,特殊フィルター技術でモーションアーチファクトを大幅に軽減し,造影剤を用いなくても低流速血流の描出を可能にした新規超音波イメージング技術SMI(Superb Micro-vascular Imaging)が開発された.
【目的】
SMIを用いて活動性高安動脈炎の動脈壁内新生血管を描出する.さらにFDG集積結果と比較することによりSMIで描出された新生血管が高安動脈炎の局所血管炎症を反映していることを証明する.
【方法・結果】
当院を受診した高安動脈炎の連続10症例を対象とした.超音波検査で評価可能な左右の総勁動脈,頸動脈洞,内頸動脈,総腸骨動脈の合計8血管を観察部位とした.評価項目は①SMI:新生血管の有無,②FDG-PET/CT:max SUV > 2.1を炎症反応陽性と判定,③超音波検査:マカロニサインの有無など,④各種炎症バイオマーカー(赤沈,CRP 等)であり,全て5日以内に施行した.FDG-PET/CTは,検査の同意が得られた6症例で施行,全48血管中6血管に新生血管が検出され,48血管をSMIで新生血管が検出されたA群6血管と,検出されなかったB群42血管に分けて比較したところ,FDG-PET/CTで炎症所見陽性だったのはA群で5血管(83%),B群では全例炎症所見陰性であった.Fisher正確確率検定を行うと,p<0.001であり,A群はB群よりも有意にFDG集積陽性率が高かった.さらに活動性評価において,FDG-PET/CTと比較して,SMIは感度100%,特異度97%と検査精度が劣らないことが分かった.また,FDG集積と炎症マーカー,マカロニサインの間には有意な関連は見られなかった.同様にSMIで検出された新生血管と炎症マーカーとの間にも有意な関連は見られなかった.
【考察】
SMIで捉えられた動脈壁内の新生血管と,FDG集積所見が有意に関連していた.これは,SMIで描出された新生血管が局所炎症を反映していることを示唆している.さらにSMIは局所の活動性評価において,炎症マーカーよりも優れていた.
【結語】
SMIは非侵襲的かつ簡便であり,高安動脈炎の局所活動性の早期診断,早期治療に貢献し,FDG-PET/CTに代わり得る新しい診断モダリティとして期待される.