Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 血管
動脈疾患

(S765)

高齢で再燃した高安動脈炎の診断,治療経過に腎動脈エコーが有用だった1例

Renal artery echosonography in the diagnosis and management of recurrent Takayasu arteritis: A Case report

桜山 千恵子, 石川 譲治, 小林 敬翔, 田中 旬, 杉原 毅彦, 原田 和昌

Chieko SAKURAYAMA, Joji ISHIKAWA, Keisyo KOBAYASHI, Jun TANAKA, Takehiko SUGIHARA, Kazumasa HARADA

1東京都健康長寿医療センター臨床検査科, 2東京都健康長寿医療センター膠原病リウマチ科, 3東京都健康長寿医療センター循環器内科

1Department of Physiological Labaratory, Tokyo Metropolitan Geriatric and institute of Gerontology, 2Department of Medicine and Rheumatology, Tokyo Metropolitan Geriatric and institute of Gerontology, 3Department of Cardiology, Tokyo Metropolitan Geriatric and institute of Gerontology

キーワード :

症例は76歳女性.31歳時発熱を契機に他院にて高安動脈炎と診断されステロイド治療,炎症反応(C-reactive protein; CRP)と血圧を指標にしながら経過観察されていた.2015年になり血沈の上昇を認め,鎖骨下動脈,総頸動脈,腹部大動脈狭窄が進行したため当院膠原病科へ紹介受診した.2017年9月一過性脳虚血発作の疑いで入院した時には,高血圧を認めたが,左右差なく(右194/87 mmHg,左170/79 mmHg),レニン活性4.3ng/ml/hrと上昇していた.血沈の再上昇(89 mm)を認めたが,頸動脈エコーでは総頸動脈のIMTは1.1mm程度で有意な肥厚は認めなかった.しかし,腎動脈エコー検査では両側ともに起始部より全周性の壁肥厚像が著明で腎門部まで走行しておりマカロニサインを呈していた.また右腎動脈は蛇行し遠位側で1.5 m/s,左腎動脈は起始部より遠位側で2.5m/s程度の加速血流を認め,高度狭窄所見を認めた.腹腔動脈,上腸間膜動脈起始部でも高度加速血流が検出された.腎動脈狭窄進行による血圧上昇,腎動脈のマカロニサインより高安動脈炎再燃進行が疑われ,ステロイド(PSL)導入,トシリズマブ(TCZ)併用された.2017年10月,12月に施行した腎動脈エコーで壁肥厚所見は軽減しマカロニサインの消退を認め,腎内の区域動脈の血流波形もAcceleration timeの改善がみられた.2017月10月にはレニン活性2.3ng/ml/hrまで低下し,血沈は5mmまで低下した.2017年12月現在PSL漸減,TCZ継続しているが,血圧は130 mmHg台まで低下した.本症例は腎動脈狭窄の血流情報だけでなく,血管の性状を詳細に観察することにより,高安動脈炎再燃~治療効果判定に有用だった1例と思われ,CT,MRIの画像と比較し報告する.