Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 血管
動脈疾患

(S765)

大動脈解離の検案時超音波検査

Autopsy Ultrasonpgraphy as a post-mortem examination for Aortic Disection

陶山 芳一

Yoshikazu SUYAMA

京都北警察・陶山医院内科

Internal Medicine, Suyama Clinic

キーワード :

【目的】
死亡時画像診断としてCTの実施頻度は十分ではなく,これを補うため検案時超音波検査Autopsy Ultrasonography(以下AUS)を行っている.2010年~2017年の検案件数は837例でうち532例(64%)にAUSを実施した.今回は大動脈解離と診断した検案例を検討した.
【対象・方法】
対象は8年間に大動脈解離と診断した男性72例,女性49例 計121例.平均年齢は男性69.0才,女性81.6才.救急搬送され搬入時心肺停止が86例,死後硬直などで救急不搬送が33例であった.AUSは腹部超音波検査の手技に,右肋間から上行大動脈,胸骨上縁より弓部,左肋間より心臓の観察を加えている.他の画像診断としてはCTを56例,胸部レントゲンを47例で併用した.
【結果】
AUS所見としては①上行大動脈の拡張,二腔構造,フラップなどを94例(78%)で認めた.②心膜液を92例(76%)で認め,エコー下穿刺にて20例(17%)が血性心膜液であった.③胸水を46例(38%)で認め,穿刺にて23例(19%)が血性胸水であった.
CTで大動脈解離と診断されるがAUSで診断困難な要素として,蘇生術による胸郭変形,肥満,高度腐敗,皮下気腫,偽腔あるいは血種の薄い例などが挙げられる.
【結語】
A型大動脈解離の典型例において,AUSによる上行大動脈の拡張,2腔構造の確認は可能で,またエコー下穿刺による心膜・胸腔内への破裂出血の確認は,単純CTで診断困難な場合でも意義が大きいと思われた.

(Fig.1)right parasternal scan showed disected ascending aorta.