Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 血管
動脈疾患

(S764)

第一背側中足動脈の血管走行と超音波評価

Evaluation of the first dorsal metatarsal artery on ultrasonography

江藤 博昭, 関 謙太朗, 寺村 智, 佐藤 洋, 松末 武雄

Hiroaki ETOH, Kentaro SEKI, Satoshi TERAMURA, Hiroshi SATO, Takeo MATSUSUE

1関西電力病院臨床検査部, 2関西電力病院形成再建外科

1Division of Clinical Laboratory, Kansai Electric Power Hospital, 2Division of Plastic and Reconstructive Surgery, Kansai Electric Power Hospital

キーワード :

【背景】
手指機能は日常生活において重要な役割を担っている.外傷により手指が欠損した場合は手指再建が行われているが,爪や関節の移植が必要な場合には移植組織を足指に求めることとなる.足指へと連続する血管柄を長く採取する場合には第一背側中足動脈(FDMTA)を含めて移植組織を摘出するのだが,このFDMTAの血管走行は解剖学的変異が多く一定していない.十分な太さのFDMTAが体表近くに存在する場合は手術手技的な問題は少ないが,FDMTAが深部に存在する場合は術野の展開が困難となる.また,FDMTAが細い場合や足指まで伸展していない場合は,血流優位な足底動脈系を血管茎として採取することとなる.これまで術者は術中判断により優位血管を選択し採取してきた.
【目的】
FDMTAの血管走行を形成外科手術前に超音波検査(US)で評価する.
【方法】
2013年5月から2017年11月の期間で,関西電力病院形成外科にて手指再建(Wrap-around flap法)が施行された57名,84肢を対象とした.USにて対象のFDMTAの血管走行と血管径,血流波形に関して統計学的手法を用いて評価した.超音波診断装置はAplioTM 500またはProSound F75を使用した.FDMTAの血管走行に関しては以下の通りType A, B, Cの3通りに分類した.Type A:FDMTAが背側骨間筋の足背側を走行する症例,Type B:FDMTAが背側骨間筋の足底側を走行する症例,Type C:FDMTAが細く足指まで伸展していない症例.
【結果】
84肢におけるFDMTAの血管走行の割合は,Type Aが39肢(46%),Type Bが37肢(44%),Type Cが8肢(10%)であった.Type A,B,C以外の血管走行を呈した症例は認めなかった.FDMTAの血管走行に関して,術中所見と超音波所見を比較した結果,的中率は100%であった.FDMTAの血管径の平均値は,右足1.08±0.05mm,左足1.19±0.07であり左右差は認めなかった(p=0.86).血管径の平均値に関して性別で比較したところ,男性1.12±0.05mm,女性1.17±0.10mmであり性差は認めなかった(p=0.78).FDMTAの収縮期最高血流の平均値は右足41.21±2.78cm/sec,左足41.15±3.54cm/secであった(p=0.57).
【考察】
USはFDMTAと背側骨間筋との位置関係や血流量を評価することができる点で優れている.FDMTAを含む血管柄で手指再建をする場合は,術前にUSを行うことで円滑な処置を行うことができると考える.
【結論】
USにてFDMTAの血管走行を高精度に評価できることが明らかとなった.