Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 腎泌尿
腎泌尿

(S758)

腎粘液管状紡錘細胞癌の1例

A case of mucinous tubular and spindle cell carcinoma of the kidney

政所 久美子, 安部 裕典, 吉田 一博, 大谷 博

Kumiko MANDOKORO, Hironori ABE, Kazuhiro YOSHIDA, Hiroshi OHTANI

1社会医療法人財団白十字会白十字病院臨床検査技術部, 2社会医療法人財団白十字会白十字病院泌尿器科, 3社会医療法人財団白十字会白十字病院病理部

1Clinical laboratory engineering department, Hakujyuuji hospital, 2Urology, Hakujyuuji hospital, 3Pathology, Hakujyuuji hospital

キーワード :

【はじめに】
Mucinous tubular and spindle cell carcinoma(粘液管状紡錘細胞癌,以下MTSCC)は2004年WHO分類にて新たに提唱された腎細胞癌の組織型である.以降MTSCCの報告数は海外で100余例,本邦では20余例が報告されている.
今回われわれは腎癌の組織型として稀なMTSCCを経験したので報告する.
【症例】
患者:43歳,女性,主訴:右季肋部痛,既往歴:特記事項なし,現病歴:他院にて腎嚢胞を経過観察中であった.昨年6cm大であった嚢胞が,今回10cmと増大し,内部に充満するechogenic lesionを認めた事から,当院泌尿器科に紹介された.
【超音波】
右腎下極に約10cm大の等エコー腫瘤を認める.形状は類円形,内部エコー不均一,境界はほぼ明瞭であるが,腎実質側に一部不明瞭に描出される部分を認める.腹側に無エコー部分を認めるが,深部は充実性で腫瘍様に描出される部分も認める.その部位に周囲から流入する拍動性血流を認める.出血によるフィブリンや血餅も一塊になっている可能もあるが,以前嚢胞であったという事から嚢胞
腺癌等の嚢胞随伴性腫瘍や肉腫,紡錘細胞癌を疑う.腎盂に軽度拡張を認める.
膀胱には腫瘍性病変は認めない.
【CT】
造影CTにて右腎のhuge cystは以前に比べvolume増大している.内部に斑状の淡いHDAsが生じており,造影効果見られる.本画像上腎盂との交通は見られない.CTでは穿刺で生じたgranulomatous tissue,血腫,出血性嚢胞等を疑う.
【MRI】
右腎に既知の嚢胞性病変が認められる. 病変内は,T1WIで低信号,T2WIで著明な高信号を呈すcystic componentも認められるが,T1WIで等信号,T2WIで低~等信号を呈す多彩な信号強度も呈しており,新旧の血腫が混在するものと推測される.Dynamic studyでは嚢胞壁から内腔に突出する造影効果を示す結節状の充実成分が認められる.DWIでみると,上記充実成分に一致して拡散制限を認める.MRIでは嚢胞随伴性腎細胞癌を疑う.
【病理組織】
Mucinous tubular and spindle cell carcinoma with high grade transformation,expansive type,G2>G3>G1,INFa(>INFb),V1,ly0,eg,fcl,iml,rc-infl,rp-inf0,s-inf0,pT3a,9.8×8.5cm,surgical margin(-),most likely,
【考察】
今回われわれは腎癌の組織型として稀なMTSCCを経験したので文献的考察を含め報告する.