Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 甲状腺
甲状腺

(S750)

頭痛,咽頭痛にて受診した亜急性甲状腺炎の一例

One case of subacute thyroiditis visited hospital with headache and sore throat.

脇坂 裕子, 金子 幸代, 常見 安史, 石山 弘美, 井上 誠, 谷口 泰, 千田 宏司

Yuko WAKISAKA, Sachiyo KANEKO, Yasushi TSUNEMI, Hiromi ISHIYAMA, Makoto INOUE, Tohru TANIGUCHI, Koji CHIDA

1大田病院内科, 2大田病院生理機能検査

1Department of Internal Medicine, Ohta Hospital, 2Department of Clinical Laboratory Medicine, Ohta Hospital

キーワード :

症例は42歳,女性.主訴:頭痛.現病歴:X年5月中旬より発汗過多,6月より頸部の圧痛を伴う腫瘤を自覚していた.8月上旬より夜間に37℃台後半の発熱,発汗過多,後頭部~頭頂部にかけての頭痛を認めた.8月中旬には嚥下時痛も出現し増強.連日ロキソプロフェンを内服し,朝には解熱するも夜間の発熱は持続し,動悸と呼吸困難感も出現したため8月25日に当院受診.WBC 12000 /µL,CRP 4.0 mg/dl,アデノウイルス陰性であり,ミノマイシンを処方され帰宅.翌8月26日に呼吸困難感が増強し耳鼻科受診.喉頭ファイバーを施行するも声帯や喉頭蓋に異常はなく,デカドロンを吸入したところ呼吸困難感は消失し帰宅した.その後も夜間の頭痛と咽頭痛は軽快せず8月29日に再度当院を受診.洞性頻拍を認め,甲状腺触診で右頸部の圧痛を伴う腫瘤を蝕知し甲状腺疾患が疑われた.血液検査でTSH 0.013 µIU/ml, FT3 12.3pg/ml, FT4 4.03ng/dl, HTg 43.3 ng/mlであり,破壊性甲状腺中毒症を呈していた.甲状腺エコー検査で甲状腺は全体的に腫大し,右葉に圧痛部位に一致した境界不鮮明な低エコー領域を認め,カラードプラで血流は乏しく,亜急性甲状腺炎と診断した.ビソプロロール1.25mg,PSL 15mg/日を開始し,夜間の発熱と洞性頻拍は約3日後に軽快,7日後には咽頭痛は軽快した.9月25日の甲状腺エコーでは,甲状腺腫大は全体的に縮小傾向にあり,右葉の低エコー領域は一部血流がみられるようになったが,左葉は全体的に低エコー域が増大し血流は乏しく,クリーピング現象がみられた.10月11日の血液検査ではFT4 1.19 ng/dl, TSH 1.69 µIU/mlと甲状腺機能は一旦正常化した.その後順調にPSLを減量し11月11日に中止した.12月下旬の甲状腺エコー検査では甲状腺は全体的に縮小しており,低エコー領域はみられず改善を認めたが,血液検査ではTSH 5.64 µIU/ml, FT3 2.7 pg/ml, FT4 1.06 ng/dlであり,潜在性甲状腺機能低下症をきたしていた.今回,頭痛・咽頭痛で受診し診断に難渋するも甲状腺エコーで診断できた亜急性甲状腺炎の一例を経験したので報告した.