Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 乳腺
乳腺 3

(S742)

良悪性合併乳管内増殖性病変のエラストグラフィの検討

Examination of elastography in intraductal lesion

佐橋 恩, 伊藤 馨那, 伊藤 果穂, 森田 孝子, 須田 波子, 遠藤 登喜子, 川崎 朋範, 市原 周

Megumi SAHASHI, Kana ITOU, Kaho ITOU, Takako MORITA, Namiko SUDA, Tokiko ENDOU, Tomonori KAWASAKI, Shuu ICHIHARA

1名古屋医療センター臨床検査科, 2名古屋医療センター乳腺外科, 3東名古屋病院乳腺科, 4名古屋医療センター病理診断科

1nagoya medical center, 2nagoya medical center, 3higasinagoya hospital, 4nagoya medical center

キーワード :

【目的】
近年,超音波検査において,病変の良悪性の鑑別や質的診断の補助としてカラードプラやエラストグラフィを活用することが必須となっております.今回は乳管内病変に着目し,乳管内乳頭腫と非浸潤性乳管癌(異型乳管過形成:ADH)の併存症例について,良悪性併存病変は診断が難しく,診断の正確性が手術方法を左右するため,エラストグラフィによる歪みの違いが鑑別診断に有用かどうか検討をしました.
【対象】
2014~2017年の3年間に当院にて手術を施行した乳管内乳頭腫と非浸潤性乳管癌の併存症例(11症例)を検討しました.
【方法】
超音波検査画像(Bモード,カラードプラ,エラストグラフィ)と病理組織像を対比させ,エラストグラフィによる歪みの違いについて検討しました.
【結果】
エラストグラフィーについて,中枢性の乳頭に近い太めの乳管拡張部位は赤く表示され,乳管内病変が疑われるところは緑色が多く認められ,乳腺末梢の乳管内病変では青色が比較的多く認められる傾向が見られました.嚢胞内の充実性病変では青く認められました.エラストグラフィでの非浸潤がん部位と乳頭腫の部位の鑑別は困難でした.
【考察】
超音波検査においてエラストグラフィは歪みの低下の有無により良悪性を判断する情報となりますが,解剖学的な組織構築の違いによってエラストグラフィの所見は異なって表示される可能性が示唆されました.乳管内乳頭腫と非浸潤がんが合併する複雑な病変に対して,良悪性診断のみならず,組織構築等病態を意識した画像診断が求められると考えられました.今後も症例の集積が必要と考えています.