Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 乳腺
乳腺 2

(S740)

経過観察に超音波検査が有用であった同側性異時性3多発乳癌の一例

A case of ipsilateral metachronous 3 multiple mammary carcinoma in which ultrasonic examination was useful for follow-up observation

窪田 仁美, 門傳 香織, 藤原 麻子, 安達 慶太, 原 由起子, 櫻井 健一

Hitomi KUBOTA, Kaori MONDEN, Asako FUJIWARA, Keita ADACHI, Yukiko HARA, Kenichi SAKURAI

日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野

Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
乳房温存手術後の同側性・異時性に発症した乳癌2病変に対し超音波検査での経過観察が有用だった症例を経験したので報告する.
【症例】
症例は33歳,女性.右乳癌に対し,乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理学的検査では充実腺管癌,脈管侵襲なし,断端陰性,ER陰性,PgR陰性,HER2陰性,pT1N0M0 stageIの診断であった.術後補助療法として残存乳房に対し放射線照射を施行した.術後6年目の超音波検査で,残存乳房C領域に9mm大の境界不明瞭な不整形低エコー腫瘤の出現を認めた.乳房造影MRI検査で①右C領域に20mm,②右A領域に15mm大の造影結節を認めた.右残存乳房における新規2病変の診断で,乳頭乳輪温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理学的検査では①乳頭腺管癌,ER陰性,PgR陰性,HER2陽性,Ki67:70%,②充実腺管癌,ER陽性,PgR陽性,HER2陽性,Ki67:60-70%と診断された.
 2次癌の術後療法としてタモキシフェンおよびリュープロレリン,ハーセプチン1年間の投与を行った.術後2年目の現在,無再発生存中である.
 乳癌治療の進歩・予後の向上により,今後このような症例を経験することが増加してくることが予想される.1次癌の術後の経過観察の方法・期間など,考えさせられる症例であった.