Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 乳腺
乳腺 1

(S736)

乳腺小腫瘤に対する乳癌診断の試み

Evaluation of diagnosis of breast cancer in patients with small breast tumor

今野 佐智代, 竹川 英宏, 江尻 夏樹, 川又 美咲, 高瀬 直敏, 吉原 明美, 髙田 悦雄

Sachiyo KONNO, Hidehiro TAKEKAWA, Natsuki EJIRI, Misaki KAWAMATA, Naotoshi TAKASE, Akemi YOSHIHARA, Etsuo TAKADA

1獨協医科大学病院超音波センター, 2獨協医科大学神経内科, 3那須赤十字病院放射線科超音波診断部

1Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University Hospital, 2Department of Neurology, Dokkyo Medical University, 3Department of Ultrasonic Diagnosis, Nasu Red Cross Hospital

キーワード :

【背景と目的】
乳腺腫瘤における乳癌の診断は,Bモード画像による腫瘤の形状やDepth width ratio(D/W ratio)の有用性が知られている.一方,近年では2Dリアルタイムエラストグラフィー(2D RTE)やFat Lesion Ratio(FLR)を用いた診断法も用いられるようになった.しかし小腫瘤では良悪性の診断に苦慮する例も多い.そこで我々は小腫瘤を対象に,D/W ratio,2D RTEおよびFLRの有用性について検討を行った.
【対象と方法】
最大腫瘤径が1cm以下の乳腺腫瘤連続398例を対象とした.なお嚢胞は除外した.乳腺超音波検査はHIVISION Ascendus(Hitachi, Tokyo, JAPAN)のリニア型探触子EUP-L75(18-5MHz)で施行し,最大腫瘤径,D/W ratio,Tsukuba Elasticity Score(ES)およびFLRを評価した.良性腫瘤群と悪性腫瘤群に分類し,両群の検査所見の差異について,ピアソンのカイ二乗検定およびマン・ホイットニーのU検定で解析した.D/W ratioおよびFLRはROC曲線を用いて悪性腫瘤を診断するカットオフ値を算出した.また各検査項目における感度,特異度,正診率を求めた.
【結果】
悪性腫瘤は70例で良性腫瘤は328例であった.腫瘤径は両群とも8mm(中央値)で差はなかった(p=0.68).悪性腫瘤群はES 1はなく,5が58.6%と最も多く,ついでES 4が31.4%と多かった.良性腫瘤群はES 5は存在せず,ES 2が67.4%,ES 1が22.3%であり,2群間に有意差がみられた(p<0.0001).D/W ratioは悪性腫瘤群が0.830(中央値),良性腫瘤群が0.570,FLRは悪性腫瘤群が6.79,良性腫瘤群が1.83であり,両項目とも悪性腫瘤群で有意に高値を示した(p<0.001).ROC曲線の曲線下面積は,D/W ratioが0.847,FLRが0.969と後者の有用性が高かった.ES 4以上,D/W ratio 0.765以上,FLR 3.47以上をカットオフ値とした場合,各項目の悪性腫瘤診断に対する感度はそれぞれ90.0%,68.6%,94.3%であり,特異度は96.3%,86.9%,89.6%であった.また正診率はそれぞれ,95.2%,83.7%,90.5%を示した.一方,ES 2,3,4を呈した284例(悪性腫瘤群 29例,良性腫瘤群 255例)を対象に,D/W ratio 0.765以上およびFLR 3.47以上を満たす割合をみると,悪性腫瘤群は48.3%であったのに対し,良性腫瘤群は4.71%と低かった(p<0.0001).また2項目を満たした場合の悪性腫瘤の正診率は90.5%であった.
【考察・結語】
最大腫瘤径が1cm以下の乳腺小腫瘤に対する悪性診断について検討した結果,ESの有用性が最も高く,ついでFLRが有用であることが示された.さらにES 2,3,4を呈した場合,FLRおよびD/W ratioの併用で診断率が向上する可能性を示した.悪性腫瘤では腫瘤内血流が豊富とされているが,血流を伴わない例では,形状やD/W ratio,ESなどの評価が必要となる.また本検討で用いた評価項目は悪性腫瘤で高スコア,高値を示すことが知られているが,小腫瘤に限定した有用性についての報告は少ない.本検討は乳腺小腫瘤の悪性診断率向上に寄与する可能性がある.