Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児血流

(S728)

胎児発育不全における心筋血流再分配所見と脈波伝播速度および推定脈圧

Pulse wave velocity and estimated pulse pressure in growth-restricted fetuses with or without myocardial blood re-distribution

宮下 進, 多田 和美, 渡辺 博

Susumu MIYASHITA, Kazumi TADA, Hiroshi WATANABE

1獨協医科大学総合周産期母子医療センター産科部門, 2獨協医科大学産科婦人科学講座

1Division of Maternal and Fetal Medicine, Perinatal Medical Center, Dokkyo Medical University, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Dokkyo Medical University

キーワード :

【背景】
超音波位相差トラッキング法(Kanai H,1996)は反射波の位相を観測することで,超音波計測精度における波長による制限を大幅に排除できる.理論的計測精度は速度で0.1mm/s,変位で0.2μmに達する.これを用いて胎児の血管壁運動を計測すると,血圧と関連する指標である脈波伝播速度(PWV)および推定脈圧(PP)が解析可能となる.胎児発育不全(FGR)ではPWVおよびPPが正常発育胎児に比較して有意に上昇していることを報告した(Miyashita S, 2015).また,FGRでの胎児遠位右冠動脈血流シグナルの観察により,心筋への血流再分配が観察可能であることを報告した.冠動脈血流は拡張期優位であり,心筋潅流圧は血圧にも依存するため,心筋血流再分配では血圧および脈圧上昇をともなっている可能性が推定される.
【目的】
FGRにおける心筋血流再分配所見とPWV, PPとの関連を明らかにする.
【方法】
2017年6月-12月の期間に以下の評価を行ったFGR 41例を対象とした.胎児右室自由壁外側の心尖側1/3の範囲で,colorまたはdirectional power Dopplerを用いて冠動脈血流信号の描出を試みた.pulsed Dopplerにて拡張期優位の特徴的な速度波形が描出される場合をFGR-HS群,それ以外をFGR-NR群と分類した.また胎児横隔膜近傍の下行大動脈壁の異なる2点上における血管壁運動解析を位相差トラッキング法によりおこなった.また下行大動脈血流速度波形から最大流速(dAo-Vmax)を求めた.これらの計測値からPWVおよびPPを算出し上記2群間での比較を行った.Mann-Whitney U testおよび妊娠週を加えたtwo-way ANOVAを用いて統計解析をおこない,有意水準をP=0.05に設定した.本研究は院内倫理委員会で事前に承認された.
【成績】
PWV, PPはFGR-HS群(n=15)4.8±0.30 m/s, 3.7±0.25 kPa(mean±SE),FGR-NR群(n=26)3.1±0.13 m/s, 2.8±0.19 kPaでともに有意にFGR-HS群で高値で,two-way ANOVAでも有意であった.dAo-Vmaxはそれぞれ0.75±0.054, 0.87±0.043 m/sで有意差は認められなかった.
【考察・結論】
心筋血流再分配所見を伴うFGR児では,血圧および脈圧が上昇している可能性が示された.PWVの計測により,血圧情報を含む循環動態の理解にもとづくFGRの病態解析が可能となると考えられる.