須波 玲, 笠井 真祐子, 内田 雄三

Rei SUNAMI, Mayuko KASAI, Yuzo UCHIDA

山梨県立中央病院総合周産期母子医療センター産科

Department of Obstetrics, Yamanashi Prefectural Central Hosipital

キーワード :

【目的】
胎児顔面の特徴を規定する複数の指標を用いて胎児顔面形態を標準化し客観的な形態異常の検出が可能か検討する
【対象】
妊娠22週から28週までの正常胎児178例および先天奇形症候群15例の計193例
【方法】
胎児顔面の3D volume dataを矢状断面・水平断面の2方向から取得して解析に用いた．顔面形態を規定する指標として，顔面縦横比（Facial ratio），内外側眼窩間距離比（IO-OO Dimeter ratio），Nasionを起点とした前頭高（Frontal height），maxilla-nasion-mandible（MNM）angle，鼻高および鼻幅から得た鼻体積（Nasal volume），鼻根高（Nasal root height）を測定した．各指標は頭囲で標準化したのちにZ scoreを算出しその絶対値の和をFacial shape indexとした．正常胎児より作成した基準値に基づいて先天奇形症候群18例におけるFacial shape scoreとの比較検討とスクリーニングに用いるためのカットオフ値をROC曲線を作成して検討を行った．【結果】
各指標の平均値およびSD値はFacial Ratio:0.94±0.07，IO-OOD ratio:0.28±0.03，Frontal height:2.16±0.33，MNM angle:10.9±1.1，Nasal volume:1.13±0.15，Nasal root height:0.85±0.23であった．Facial shape indexの平均値およびSD値は4.95±1.37であった．先天奇形症候群15例のFS indexは正常例と比較して有意に高値（7.75±1.71, p＜0.01）であり，これを検出するFS indexのカットオフ値は8.25（感度78％, 特異度67％）であった．
【結論】
胎児顔面構造を標準化するFSIは先天奇形症候群をはじめとした特徴的顔貌を呈する疾患のスクリーニングにおいて有用と考えられる．