Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓

(S724)

当院における胎児右胸心について

Cases of fetal dextrocardia in our hospital

吉田 純, 中尾 真大, 河村 卓弥, 小野 良子, 鈴木 僚, 川端 伊久乃, 桂木 真司

Atsushi YOSHIDA, Masahiro NAKAO, Takuya KAWAMURA, Ryoko ONO, Ryo SUZUKI, Ikuno KAWABATA, Shinji KATSURAGI

榊原記念病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Sakakibara Heart Institute

キーワード :

【目的】
右胸心は胎児異常としては比較的目立つ所見と思われ,妊娠の比較的早い時期であっても診断しうる可能性がある.今回,当院において胎児期に診断された右胸心症例について検討したので報告する.
【方法】
当院において2016年1月から2016年10月までに胎児心エコー検査を実施した症例のうち,右胸心と診断された例につき診療録記載により後方視的に検討した.
【結果】
検討期間中胎児心エコーを実施し,右胸心と診断された症例数は13例であった.なお右胸心が疑われ精査した症例のうち1例は先天性横隔膜ヘルニアの症例であった.Situsによる分類の内訳は,situs solitus 3例(23.0%),situs inversus 5例(38.5%),situs ambiguous 5例(38.5%)であった.13例中12例で胎児心構築異常を伴っていたが,situs inversusの1例は心構築異常なしと診断された.院内症例はこの1例のみで,他の12例は全て院外施設からの紹介例であった.最初に右胸心を指摘された時期は平均23.9±5.4週であったが,最も早い症例で12週0日,最も遅い症例で32週2日であり,妊娠22週未満に指摘されていたのは4例(30.8%)のみであった.12週での診断例はnuchal translucency肥厚の疑いにて紹介され,当院での超音波検査にて右胸心を含む胎児異常が指摘された.この症例は妊娠継続を希望せず,21週0日で人工妊娠中絶がおこなわれた.妊娠継続した12例のうち1例は転帰不明,他の11例中2例が子宮内胎児死亡となっていた.児の染色体異常が確認できたのは1例のみで,18トリソミーであった.
【考察】
今回の検討では,右胸心の指摘時期は大きな幅があり,必ずしも妊娠の早い時期に指摘されていたわけではなく,妊娠継続の可否を考慮しうる時期までに精査をおこなうことができた症例は限られていた.右胸心は高い頻度で心構築異常を伴うため,胎児心疾患を疑わせる契機となりうる所見としても重要と思われる.早い時期でのチェック項目に取り入れることが考慮されるべきと思われた.