Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
経会陰超音波・頚管評価

(S720)

Real- time Tissue Elastographyを用いた早産リスクの評価

Prediction of cervical changes and premature birth by cervical image pattern analysis using Real- time Tissue Elastography

永井 立平

Ryuhei NAGAI

高知医療センター産科

Obstetrics, Kochi Health Sciences Center

キーワード :

【目的】
子宮頸管長測定や膣分泌物培養などの早産リスク因子を抽出し評価検討することで早産予防対策は一定の効果をみているが必要十分とは言い難いのが現状である.早産リスクの1つとして「子宮頸管のやわらかさ」が関与している可能性は産科医なら誰しもが思い浮かべるが,内診による主観的評価方法しか無く客観的定量的評価が困難である.そこで子宮頸管長測定時のReal- time Tissue Elastography(RTE)描出画像パターン解析により頸管熟化を評価し早産リスクを予測出来るか検討した.
【方法】
当院では妊娠18週~24週時の妊婦健診時に全例に子宮頸管長測定を施行し早産リスク評価を行っている.2016年4月から2017年3月に当院で妊婦健診を施行し同意の得られた単体妊婦187症例に対して妊娠18週~24週の子宮頸管長測定時にRTEを用いて子宮頸管描出像を記録し得られた画像と早産との関係性について検討した.超音波診断装置はArietta70を用いた.双胎妊娠,子宮頸管縫縮症例は除外した.なお本研究は当院倫理委員会の承認を得て行った.
【結果】
RTE描出画像を記録可能だった187例中,早産ハイリスク群(子宮頸官長25mm未満,妊娠24週未満で子宮頸管不全症の既往歴)を18例認めた.18例中3例の早産例を認め,うち1例は頸管不全症として子宮頸管縫縮術を要した.早産を認めなかった正期産となった症例のRTE子宮頸管描出像では均一に染まる画像パターン(正常パターン)となったが,早産となった症例ではいずれもモザイク状パターンと頸管内腔に沿って線状に赤く描出される線状パターンの両方を認めた.正期産となった15例にモザイク状パターンは認めず,線状パターンを5例認めた.非早産ハイリスク群169例において早産症例は認めず,モザイク状および線状両方のパターンを示した症例は認め無かった.
【考察】
子宮頸管が熟化を示す症例ではモザイク状パターンを,子宮頸管前部と後部にやわらかさの差が生じた症例で線状パターンを示すのではないかと推察した.従来用いられてきた子宮頸管長短縮や早産既往歴に加えRTEによる子宮頸管描出像パターンを併せて評価することで早産ハイリスク群をより正確に抽出できる可能性がある.