Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
経会陰超音波・頚管評価

(S719)

産道内の児頭の挙動に影響を与える因子についての検討

Analysis of factors affecting fetal head progression in the birth canal with intrapartum translabial ultrasound.

坂巻 健, 廣田 景子, 海野 沙織, 牧井 千波, 森田 一輝, 北 麻里子, 小林 浩一

Ken SAKAMAKI, Keiko HIROTA, Saori UNNO, Chinami MAKII, Kazuki MORITA, Mariko KITA, Koichi KOBAYASHI

JCHO東京山手メディカルセンター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, JCHO Tokyo Yamate Medical Center

キーワード :

【目的】
当院では,産婦が分娩室に入室後,助産師が原則として全例に経会陰超音波を行い,より安全な分娩管理に利用している.また,保存された3Dデータは分娩後にSonoVCAD(Sonography based Volume Computer Aided Diagnosis)Laborを用いて解析し,児頭下降度の指標であるProgression Angle(PA),Progression Distance(PD),それぞれ第2,第3回旋の指標であるMidline Angle(MA),Head Direction(HD)を計測している.これらのパラメーターは,産道の中で児頭がどの方向に向かってどれくらい下降し,第2回旋がどの程度進捗しているかを表している.これまでに我々は,PAとHDに直線的な相関があり,これをPDに着目してみてみると,産道のいわばインコースを通り,早くからHead upするものと,アウトコースを通り,後からHead upするものとがあり,そのコース取りによって分娩までの時間が異なることを示した.今回我々は,この産道内での児頭の挙動の違いの原因となる因子を明らかにすることを目的に検討を行った.
【方法】
2012年1月から2015年12月までの間に当院で分娩した産婦のうち,分娩室に入室後に経会陰超音波を行い,3Dデータが保存されていた875例を対象とした.初産で自然陣発し,微弱陣痛とならず,2期遷延もなく,正常回旋で経腟分娩となった群を「狭義の初産正常経腟分娩群」と定義し,経産婦で同様に定義したものを「狭義の経産正常経腟分娩群」として,PA,PD,HDの分布と分娩までの時間等について比較した.
【成績】
狭義の初産正常経腟分娩群は248例,狭義の経産正常経腟分娩群は200例であった.PAを横軸に,HD/PDを縦軸にプロットすると,PAが小さい時はHD/PDが大きく,PAが大きくなる(児頭が下降してくる)にしたがってHD/PDが小さくなる曲線的な変化がみられ,この分布は初産・経産ともに同じであった.しかし,経産婦でPAが150度以上では,ほぼ30分以内に分娩となるのに対し,初産婦では分娩までの時間にばらつきがみられた.30分以内に分娩となった群は,初産・経産ともにPA,PD,HDに差はみられなかったが,初産で30分以内に分娩となった群と,61分以上かかった群ではPA,PDに差はみられなかったが,HD,HD/PDは有意に小さい値であった.
【結論】
PA,PDに差がなくHD,HD/PDが小さいということは,同じだけ児頭が下降しても,進行方向が出口部を向けていないことを意味する.児頭が十分下降していて,進行方向もよければ分娩が速やかに進行し,同じ下降度であってもHead upしないと分娩までにより時間がかかると考えられる.分娩の進行において,初産と経産の間には明らかな違いがあり,これは軟産道因子によると考えられる.初産においては,児頭が下降した後の児頭の挙動(分娩が進行する方向に向くかどうか)に影響する因子として,この軟産道因子が強く関与するものと推測される.