Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
妊娠初期・胎児基準値 他

(S717)

当院における尿道下裂の症例の後方視的検討

Retrospective studies for cases with hypospadias in single perinatal center

澤登 幸子, 仲村 将光, 德中 真由美, 瀧田 寛子, 新垣 達也, 大場 智洋, 松岡 隆, 関沢 明彦

Yukiko SAWANOBORI, Masamitsu NAKAMURA, Mayumi TOKUNAKA, Hiroko TAKITA, Tatsuya ARAKAKI, Tomohiro OBA, Ryu MATSUOKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学病院産婦人科

Obstetrics, Showa University Hospital

キーワード :

【目的】
性分化異常症の1つである尿道下裂は,1000出生に3-5例発生し,胎児期の診断が困難な疾患である.尿道下裂の診断精度を向上させるために有用な超音波所見と診断時期について検討した.
【対象と方法】
対象は2005年10月から2017年11月までに当院で出生し,出生後に尿道下裂と診断された症例で,診療録を後方視的に検討した.当院では全妊婦に対して2回の胎児精密超音波検査を行っている.他院からの途中紹介される症例に対する検査は紹介初診時に行った.本研究は当院倫理委員会の承認を得ている.
【結果と考察】
対象期間中の出生児18082例中,尿道下裂症例は12例(0.07%)であった.そのうち8例は胎児発育不全を合併していた.出生後尿道下裂単独の症例が2例,合併奇形を有するものが10例あった.当院で初期から妊娠管理していた7例のうち3例は女児と診断されており,出生前に尿道下裂と診断された症例はなかった.途中紹介症例5例のうち2例で出生前に尿道下裂と診断でき,診断時期は妊娠28週と33週であった.
胎児期の男児は通常26週以降に精巣が陰嚢内に下降すると言われているが,それ以前は外性器と大陰唇との区別が困難な場合がある.当院で出生前診断できた症例はいずれも妊娠26週以降であった.当院で行っている胎児精密超音波検査では,陰嚢を大陰唇と見誤る可能性があり,実際に女児と判定した症例が3症例あった.出生前診断できた症例を振り返ると,会陰尾側だけでなく腹側も観察しており,腹側で会陰が分かれているか,陰茎が存在しているかを確認していた.胎児発育不全で外性器の異常を伴う症例では会陰の詳細な観察(チューリップサインの有無)が必要と思われた.
【結論】
妊娠20週前後の胎児の外性器の診断は会陰尾側だけで評価すると大陰唇と陰嚢の誤認する可能性があり,会陰腹側で陰唇か陰茎かの確認が必要であると考えられる.胎児発育不全症例,特に外性器の異常を伴う,性別判定困難症例では精巣が陰嚢に下降する26週以降に再評価することが有用と思われた.