篠塚 憲男, 田口 彰則, 瀬戸 裕

Norio SHINOZUKA, Akinori TAGUCHI, Hiroshi SETO

¹胎児医学研究所臨床研究部, ²瀬戸病院産婦人科

¹Dept. Clinical Research, Laboratory for Fetal Medicine Researh, ²Obstetrics Gynecol, Seto Hospital

キーワード :

【はじめに】
骨系等疾患の胎児診断において，長幹骨の著明な短縮により診断に結びつく症例が多いめ長幹骨の計測基準値は重要で，既に上腕骨，橈骨，尺骨，脛骨，腓骨の基準値については既に作成・報告した．　しかしながら必ずしも長幹骨の短縮が胎児期には著明でない疾患も多く存在すること，出生後の診断では椎体の所見や，他の骨所見も重要であること，出生時の予後が胸郭の低形成等による呼吸状況により規定される症例もある等の事実より，さらなる超音波所見を基準化し評価できるようにする必要がある．
【目的】
骨系等疾患の超音波診断のための新たな基準計測，評価法を提案する
【方法】
1）脊椎の長さを表す指標について過去用いられていた脊椎長（SL: Spine length）につて再検討した．2）胎児頭部の計測基準値として児頭大横径（BPD） だけでなく　児頭前後径（OFD : Occiput-Frontal Diameter） 児頭周囲長（HC; Head Circumference）の再検討しデータの確認を行った．3）胸郭の大きさ基準値の作成　従来行われてきた胸囲（TC：Thorax Circumference）に加え3vessel trachea viewでの胸郭周囲長（TC3vt Thorax Circumference at three vessel trachea view）を設定基準値を作成し，さらに 胸囲腹囲比（TC/AC）　胸郭腹囲比（TC3vt/AC）ついても検討した．
【結果】
1）SL, OFD, HC の基準値, および回帰式の作成した．2）AFD児1047 例の計測値よりTC,TC3vt （下表）の基準値,TC/AC TC3vt/ACの基準値を作成した．
3）超音波計測値およびそのSD値等の記載と，レーダチャートによるパタン化記載により特徴的なパタンを見分けることが，骨系統疾患の補助診断として有用な可能性が示された．