Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎盤・臍帯 1

(S711)

臍帯過少捻転の超音波診断精度に関する研究

Study for accuracy of ultrasound to diagnose umbilical hypo-coiled cord

瀧田 寛子, 仲村 将光, 後藤 未奈子, 新垣 達也, 德中 真由美, 大場 智洋, 松岡 隆, 関沢 明彦

Hiroko TAKITA, Masamitsu NAKAMURA, Minako GOTO, Tatsuya ARAKAKI, Mayumi TOKUNAKA, Tomohiro OBA, Ryu MATSUOKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学病院産婦人科学教室産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
臍帯過少捻転はいつ診断するのが最適なのかを明らかにすること.
【方法】
2011年から2017年の期間に,当院で分娩後に臍帯過少捻転を認めた症例を対象として,妊娠20週と妊娠36週で行った経腹超音波画像で測定した臍帯捻転のデータを診療録より後方視的に検討した.妊娠20週と36週での臍帯捻転の評価はBモードもしくはカラードプラを併用し,2本の動脈と1本の静脈が並ぶ外径を測定し1周期長として,測定した.妊娠20週の臍帯過少捻転の定義は,妊娠20週で測定した全症例の臍帯1周期長の90%tile値以上の長さである36mm以上を呈したものを過少捻転と決めた.同様に,妊娠36週の臍帯過少捻転の定義は,妊娠36週で測定した全症例の臍帯1周期長の90%tile値以上の長さである46mm以上を臍帯過少捻転として定義した.分娩時の臍帯過少捻転の基準は臍帯の捻転数を臍帯全長で割った値が0.1以下の症例を分娩時臍帯過少捻転として定義した.本検討は当院の倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
対象期間中に当院で妊娠20週と妊娠36週に経腹超音波検査を受け,当院で分娩に至った症例は3400例,そのうち分娩時臍帯過少捻転を認めた症例は65例であった.妊娠36週では65例中16例が1周期長46mm以上の過少捻転と診断されており,残りの49例は正常と診断されていた.妊娠20週では分娩時過少捻転であった症例65例のうち,46例が20週で測定した臍帯1周期長が90%tile値である36mm以上の値を呈し,分娩後過少捻転であった65例全例が20週の1周期長は24mm以上の値を呈した.
【考察】
臍帯が過少捻転であるかどうか診断するには,羊水腔が保たれており,胎児と臍帯のスペースが十分に保たれている妊娠20週のほうが妊娠36週より評価に適していると考えられた.また,分娩時過少捻転であった症例の多くは20週で臍帯は過少捻転傾向であり,妊娠経過とともにその捻転が形成される傾向は著明には変わらないと考えられた.