Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
びまん性肝疾患 1

(S697)

門脈ガスのカラードプラ所見(3)

Color Doppler findings of portal gas (3)

長沼 裕子, 石田 秀明, 長井 裕, 山崎 延夫, 小川 眞広, 伊集院 裕康, 渡部 多佳子, 大山 葉子

Hiroko NAGANUMA, Hideaki ISHIDA, Hiroshi NAGAI, Nobuo YAMAZAKI, Masahiro OGAWA, Hiroyasu IJYUIN, Takako WATANABE, Yoko OHYAMA

1市立横手病院消化器科, 2秋田赤十字病院消化器科, 3NGI研究所, 4富士フイルムメディカル株式会社超音波事業推進部, 5日本大学病院消化器肝臓内科, 6天陽会中央病院内科, 7秋田赤十字病院臨床検査科, 8秋田厚生医療センター臨床検査科

1Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital, 3New Generation Imaging Laboratory, New Generation Imaging Laboratory, 4Fujifilm, Fujifilm, 5Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University Hospital, 6Department of Internal Medicine, Tenyoukai Central Hospital, 7Department of Medical Laboratory, Akita Red Cross Hospital, 8Department of Medical Laboratory, Akita Kousei Medical Center

キーワード :

【はじめに】
門脈ガスのUS所見は①B-modeで門脈内を移動する微小な点状高エコー,②カラードプラでカラーの門脈外への不規則なはみ出しを示す火焔状所見,③FFTでドプラ波形上振り切れる信号,とされている.我々は門脈ガスのUS所見に関し本総会で報告してきた.今回,火焔状所見がカラーの門脈外への不規則なはみ出しを示す理由について,さらなる検討を加え若干の知見を得たので報告する.使用装置:東芝社製Aplio 500,XG,GE社製LOGIQE9,日立アロカ社製Preirus.
【対象と方法】
A)臨床例の検討: USで門脈ガスと診断した17例(男性12,女性5,年齢30-91(平均62.4)歳,疾患の内訳は腸炎7例,非閉塞性腸管虚血2例,イレウス1例,胃拡張1例,外傷2例,胆管炎1例,糖尿病1例,肝硬変1例,便秘1例)を対象とした.i)カラードプラ所見(流速表示),ii)門脈内からえられたFFT波形,を検討した.B)実験での検討: 脱気水をいれた水槽内に門脈にみたてて直径約14mmの円筒状の穴をあけたファントムをおき,気泡(直径約600-900μm)をファントムの下方から一個ずつ通し,上記のi), ii)について検討した.
【結果】
A)i)17例全例で赤系の均一な色調で,火焔状所見を呈していた.ii)FFT波形を検討できた14例中全例で振り切れる線状の信号を呈した.B)i)単色(赤系)を呈し,カラーモザイクは呈さなかった.カラーシグナルは方位方向に広がりを示し,カラーにおけるサイドローブアーチファクト(以下サイドローブ)が考えられた.ファントム内の円筒状の穴に気泡一個のみ通して観察した際,方位方向に広がるサイドローブが複数個見られた.一個が複数個に表示されていると考えられた.
【考察】
カラードプラ法では複数回の送受信を繰り返して周波数偏移のデータ取得するためフレームレートは低下する傾向になるが,フレームレートをなるべく落とさずにデータをとる手法として交互走査(interleave scan)を行っている.この交互走査のために,一個の気泡が,あたかも複数個存在するかのように表現されていると考えられた.気泡は小さくとも反射信号が強く,サイドローブも目立つ傾向にある.火焔状所見を呈する理由の一つは気泡によるカラーのサイドローブが門脈血流信号に混在することにより門脈外への不規則なはみ出し現象になるためと考えられる.もう一つは,交互走査(interleave scan)のために一個のバブルが複数個に表示されることであり,サイドローブとしても複数個表示されることになる.この2つの理由により,火焔状というカラーのはみだしの過剰な表現になることが考えられた.
【文献】
1. Ijuin H, Tokitoku D, Atsuchi Y, et al. Flaming portal vein as a new color Doppler sign of portal gas: report of two cases. J Med Ultrasonics 2008; 35: 119-123.
2. Watanabe T, Ishida H, Komatsuda T, et al. Portal gas in a diabetic patient under pharmacotherapy with as alpha-glucosidase inhibitor: report of a case with emphasis on US findings. J Med Ultrasonics 2009; 36: 207-210.