Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
胆道/消化管

(S694)

腹部超音波検査にて描出し得た,choledochoceleの2症例

Two cases of choledochocele that could be visualized by ultrasonography

伊藤 将倫, 西尾 雄司, 竹田 欽一, 大林 友彦, 西村 舞, 大北 宗由, 鈴木 誠治, 今泉 延

Masatsugu ITOU, Yuuji NISHIO, Kinnichi TAKEDA, Tomohiko OOBAYASHI, Mai NISHIMURA, Muneyoshi OOKITA, Seiji SUZUKI, Tadashi IMAIZUMI

1名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院放射線科, 2名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院消化器内科

1radiology, Meitetsu Hospital, 2Gastroenterology, Meitetsu Hospital

キーワード :

【はじめに】
CholedochoceleはAlonso-Lejによる先天性胆道拡張症のⅢ型に分類され,十二指腸壁内の総胆管終末部に嚢胞状に拡張したものと定義されている.
 今回,心窩部痛のスクリーニング腹部超音波検査時に描出し得た,choledochoceleの2症例を経験したので報告する.
【症例1】
80歳代女性.突然の心窩部痛が持続するとのことで救急搬送された.腹部単純CT検査にて総胆管拡張,胆嚢腫大,膵腫大と膵周囲の脂肪織濃度上昇像を認め,急性胆管炎・急性膵炎として入院となった.腹部超音波検査では,胆石はなく総胆管拡張像,膵腫大像を認めた.遠位胆管終末部は嚢胞状に拡張し,乳頭部から十二指腸壁内に湾入する様に連続的に描出された.MRCP像でも十二指腸壁内に嚢胞状病変を認めた.Choledochoceleによる急性膵炎を考え,ERCPを施行した.ERCPでは,主乳頭口側隆起は水腫様に緊満し,総胆管終末部に15mm大の嚢胞状拡張を認め,その後,拡張した膵管・総胆管が造影された.引き続き,内視鏡的乳頭切開術(以下EST)を行ない終了となった.術後経過は良好で,拡張総胆管も軽減し退院となった.
【症例2】
90歳代女性.食思不振,心窩部痛として救急外来を受診.単純CT検査にて胆嚢腫大,総胆管拡張,遠位端肝終末部に嚢胞状拡張を認めた.膵臓の腫大は認めないが膵酵素上昇を認め入院となった.腹部超音波検査では,短軸像で十二指腸壁内に嚢胞状病変を認めた.長軸像では,十二指腸壁内の嚢胞状病変は遠位胆管終末部から乳頭部を経由して交通を認め連続していた.MRCP像では総胆管終末部近傍の十二指腸壁内に嚢胞状病変を認めた.Choledochoceleを疑いERCPを施行し,主乳頭口側隆起の腫大,総胆管終末部に10mm大の嚢胞状拡張を認めたため,嚢胞状部分のESTが施行された.術後経過は良好で,拡張総胆管も軽減し退院となった.
【まとめ】
Choledochoceleは最終的にはERCPなどにて診断されることになるが,本症例の場合,腹部超音波検査で得られた所見が,診断基準5項目のうち3項目を満たしていた(乳頭部に結石の嵌頓像はなく,十二指腸壁内に10mm以上の嚢胞状病変を認め,その嚢胞状病変は総胆管と交通していた).今後,更なる症例の検討も必要であるが,腹部超音波検査にて,十二指腸壁内に10mm以上の嚢胞状病変を認めた場合,choledochoceleは稀ではあるが鑑別診断の一つと考え検査を進める必要がある.