Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
胆道/消化管

(S694)

偽胆石が疑われた6症例の超音波像の検討

Study of ultrasonic images of 6 cases suspected of ceftriaxone-associated biliary pseudolithiasis

井本 勝治, 小河 智也, 山本 敦子, 山崎 道夫, 坂本 力, 八木 勇紀, 南部 卓三

Katsuji IMOTO, トモヤ OGAWA, Atsuko YAMAMOTO, Michio YAMASAKI, Tsutomu SAKAMOTO, Yuki YAGI, Takuzou NANBU

1公立甲賀病院放射線科, 2公立甲賀病院消化器内科

1Department of Radiology, Kohka Public Hospital, 2Department of Gastroenterology, Kohka Public Hospital

キーワード :

【はじめに】
Ceftriaxone(CTRX)はその長い半減期と良好な組織移行性から現在頻用されている抗菌薬の1つであるが,特徴的な副作用のとして偽胆石の発生が知られている.今回,我々は臨床経過から偽胆石が疑われた6症例について,超音波所見をまとめたのでその特徴を中心に報告する.
【症例】
いずれの症例もCTRX使用前にはUSまたはCTで胆石がないことが確認されており,使用後にUS,CTで胆石が確認されたものを偽胆石とした.CTRXの使用期間は4~24日で,CTRX使用開始から画像で偽胆石が確認されるまでの期間は最短で6日であった.超音波検査では砂状の高輝度沈殿物として描出されるものが多く,一部の症例で小結節状の石灰化胆石を含んでいるものも見られた.
【考察】
 偽胆石の発生機序としてはCTRXがCaイオンと親和性が高く,胆嚢内でCTRXの濃度が高くなるとカルシウム塩を形成し偽胆石になると考えられている.偽胆石はカルシウム結石であるため,USでは音響陰影を伴う高エコーとして描出され,CTでは高濃度であると報告されている.偽胆石は通常の胆石と同様に胆嚢炎や総胆管陥頓,膵炎などの原因になるが,CTRXの使用中止により偽胆石は消失することが知られている.このため,CTRX使用例においてUSで早期に偽胆石を発見し,発見した場合には速やかに使用を中止し別の抗生剤への変更も検討することが重要と思われる.CTRX使用に伴う偽胆石の発症頻度に関しては,14~57%と報告により様々であるが,おそらく偽胆石の認知度や検査頻度によるものと考えられ,知らないうちに偽胆石が発生している例も少なからず存在すると考えられる.現在まで報告のほとんどは小児であり,偽胆石発症のリスクファクターとしては,高用量での使用,急速静注,経口摂取低下による胆汁濃縮と胆嚢収縮力低下,脱水,低アルブミン血症,腎疾患の合併,腎障害性薬剤の併用などが考えられている. 
【結語】
Ceftriaxoneの使用においてはリスクに応じて超音波検査にて偽胆石の発生に注意し,胆石や膵炎など合併症の予防に注意する必要があると考えられた.