Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
胆道/消化管

(S693)

超音波で捉えられた腸管気腫症の一例

Pneumatosis intestinalis detected by urtrasonography-a case report.

藤下 真澄, 木本 知沙, 中村 佐織, 小山 雅司

Masumi FUJISHITA, Chisa KIMOTO, Saori NAKAMURA, Masashi KOYAMA

1静岡県立こども病院検査技術室, 2静岡県立こども病院放射線技術室, 3岡崎市民病院放射線科

1Department of Clinical Laboratory, Shizuoka Children's Hospital, 2Radiation Technology Office, Shizuoka Children's Hospital, 3Radiology department, Okazaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
 腸管気腫症は,腸管壁の粘膜下または漿膜下に多発性に含気性嚢胞が集簇して存在する病態である.診断には腹部単純X線写真が全体像の評価に有用であるが,近年の超音波診断装置の精度の向上に伴い超音波での報告例もみられる.今回我々は門脈内ガスを契機に発見された腸管気腫症を超音波検査でフォローし,腸管壁内を移動するガス像を動的に捉えられたので報告する.
【症例】
 1歳6ヶ月女児.在胎31週4日,1895gで出生.21トリソミー,先天性心疾患,甲状腺機能低下症の既往あり.日齢1に一過性骨髄異常増殖症発症,肝線維症あり.
 1歳3ヶ月で急性巨核球性白血病を発症.寛解導入療法中,血便が出現し同日超音波検査施行.門脈内に小さな点状エコーが血流にのって動いている様子が観察され,いわゆるstring of pearlsを呈しており門脈内ガスを反映しているものと思われた.腸管ガス著明で検査中は気付かれなかったが,動画を確認すると腸管壁の第3層内に多発する点状高エコーを認め,腸管気腫が捉えられていたものと思われた.翌日施行された腹部造影CT検査では結腸の広域に腸管気腫症を認めたが虚血はみられなかった.初回超音波検査の6日後に行った超音波検査では門脈ガスは消失していたが腸管浮腫を認め肥厚した壁内に腸管気腫を認めた.16日後の超音波検査では門脈内ガスが再度出現,腸管浮腫は6日後の超音波と比して増悪していた.腸管気腫も認めこの際に腸管壁内を移動するガス像を動的に捉えられた.その動態より腸管から流出する静脈血流内のガスと思われた.20日後の超音波検査では門脈内ガス,腸管気腫および浮腫も消失していた.
【考察】
 腸管気腫の原因は機械説や細菌説などがあげられているが十分に解明されていない.今回,腸管壁内を移動するガス像がみられたのは,おそらくその動態から腸管を灌流する静脈血内のガス像を捉えられたものと思われる.腹部単純X線写真は全体像を捉えることが可能で腸管気腫症の診断かつフォローアップに有用であるが,腸管浮腫は判断困難である.今回の様な病態では腹部単純X線写真と超音波と両方でのフォローアップが有用あると思われた.従来,門脈内ガスは腸管壊死の存在を示す所見と考えられ緊急開腹術が必須とされていたが,時代とともに変化し腸管壊死以外の原因でも生じるとされてきている.超音波検査で門脈内ガスを認めたとき,画像検査での評価と全身状態から腸管壊死が疑われるかを判断する必要がある.門脈内ガスの描出はCT検査よりも超音波検査の方が優れている一方,腸管気腫を超音波検査で描出するためには腹部単純X線写真を参照し詳細な検索が求められる.門脈内ガスと腸管気腫を同時に評価可能なモダリティは超音波検査が有用であり,特に今回の様に浮腫を伴う症例では超音波検査でのフォローアップが有用であると思われた.
【結語】
 超音波検査で腸管気腫を動的に捉えられた症例を経験した.同時に門脈内ガスの評価をするうえでも超音波検査でのフォローアップは有用と思われた.