Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
肝線維化/脂肪化 診断

(S687)

超音波検査による仮想NAS(NASH activity score)

Virtual NAS (NASH activity score) evaluated by ultrasonography

佐伯 一成, 福井 悠美, 日高 勲, 高見 太郎, 坂井田 功, 山﨑 隆弘

Issei SAEKI, Yumi FUKUI, Isao HIDAKA, Taro TAKAMI, Isao SAKAIDA, Takahiro YAMASAKI

1山口大学消化器内科, 2山口大学臨床検査腫瘍学

1Gastroenterology and Hepatology, Yamaguchi University, 2Oncology and Laboratory Medicine, Yamaguchi University

キーワード :

【目的】
近年,脂肪肝の診断における超音波検査の有用性についての報告が多くなされている.しかしながら,NASHの診断と活動性の評価には依然として組織検査がかかせないものとなっており,侵襲性やBiopsy errorの問題がつきまとう.NASHの病理所見を反映する代替マーカーを検索し,NAS(NASH activity score)および線維化の指標を検討することを目的とした.
【方法】
2015年1月から2017年11月までに脂肪肝の精査のため肝生検および血液検査・腹部エコー検査を施行した症例を対象とした.肝生検の結果をゴールドスタンダードとして,NASの因子である脂肪化・炎症・風船様変性を反映するパラメーターを検索した.また,線維化反映マーカーも検討した.超音波装置はHI VISION Ascendus(日立アロカメディカル)を使用し,肝線維化評価としてRTE(Real-time tissue elastography)を行った.また,FibroScan(Echosens)を用いてTE(Trangent elastography)およびCAP(Controlled attenuation parameter)を評価した.各種超音波および生化学的パラメーターと組織結果との相関を検討した.
【成績】
55例(平均年齢52.7±10.1歳,男/女 24/31)をエントリーした.BMI 26.7±4.1であり,メタボリック症候群としてDL/DM/HT 22/13/14の合併を認めた.血液生化学データではAST 59.5 ±38.3IU/ml, ALT 87.1±67.2と上昇していた.RTEパラメーターではMEAN 97.9±15.0であり,FibroScanではTE 7.9±4.7kPa, CAP 302.4±65.1dB/mであった.単変量解析では脂肪化とはCAP(p<.001)・B-mode(p<.001)での評価が,炎症スコアとAST(p=.039)が,BallooningスコアとHOMA-R(p<.001)が有意な相関を示した.また,線維化とはRTE(p=.011)も相関していたが,FibroScan TE(p<.001)がもっとも良好な因子であった.
【考案】
NASHの活動性評価として上記パラメーターを候補としてあげた.それぞれのパラメーターから各スコアのカットオフ値を4分範囲を参考に求めて仮想NASを作成したところ実際のNASと良好な相関を示した.
【結語】
今後候補因子とカットオフ値の再考を含めて検討していく必要があるが,超音波検査がNASH活動性評価に有用である.