Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
脾臓/その他/症例

(S684)

外傷を契機に発症した副脾捻転の一例

A Case of Secondary Spleen Caused by Trauma

吉田 美貴, 齋田 司, 千葉 史子, 川見 明央, 椎貝 真成, 原田 舟, 古西 崇寛, 増本 幸二, 南 学

Miki YOSHIDA, Tsukasa SAIDA, Fumiko CHIBA, Akio KAWAMI, Masanari SHIIGAI, Shuu HARADA, Takahiro KONISHI, Kouji MASUMOTO, Manabu MINAMI

1筑波大学附属病院放射線診断IVR科, 2筑波大学附属病院小児外科, 3筑波メディカルセンター病院放射線科

1Department of Radiology, University of Tsukuba, 2Department of Pediatric Surgery, University of Tsukuba, 3Department of Radiology, Tsukuba Medical Center Hospital

キーワード :

症例は既往のない12歳男児である.友人に左側腹部を殴打された後から左側腹部痛が出現した.一旦症状は改善するも再度腹痛が出現したため,受傷から2日後に近医を受診した.原因精査目的で施行された腹部造影CTでは,左腎下部に径4cm大の境界明瞭で内部均一な造影効果のない腫瘤を認め,加療目的に同日当院紹介受診となった.来院時の超音波検査では脾臓外側に径4cm大の境界明瞭な類円形腫瘤を認め,脾臓と同程度の高エコーを主体とし,中央に不整な低エコー領域を伴っていた.翌日の超音波検査では腫瘤径に変化はなく,中央部の不均一な低エコーが拡大し,その内部には点状高エコーが散在していた.入院4日目の超音波では腫瘤内部の低エコーはさらに拡大し,内部の点状高エコーが前回よりも目立っていた.初診時に認められていた高エコー域は辺縁にのみにわずかに残存していた.カラードプラでは腫瘤内部に血流は認めなかった.前医CT画像では脾動脈から腫瘤に向かう動脈の途絶を認めており,超音波検査の経時的変化も合わせ,副脾捻転による副脾の出血梗塞と考えられた.症状は自然軽快し,後日腹腔鏡下で腫瘤摘出術が施行された.病変は大網,結腸と癒着しており,周囲の血管は4回転捻転していた.摘出された検体の割面は赤色で脾組織と考えられ,副脾茎捻転と診断された.術後経過は良好で術後2日目に退院となった.
副脾は先天性形態異常の1つであり,臨床的に問題となることは少ない.本症例のように副脾が茎捻転を起こし急性腹症を引き起こすのは非常に稀とされている.副脾捻転の経時的経過を超音波で観察した貴重な症例であり,文献的考察を加えて報告する.