Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
エラストグラフィ 2

(S680)

無症候性B型肝炎ウイルスキャリアにおける肝弾性度の評価

Study for liver elastography in the patient with asymptomatic carrier of hepatitis B virus

佐藤 秀一, 飛田 博史, 矢﨑 友隆, 新田 江里, 福間 麻子, 三宅 達也

Sato SHUICHI, Tobita HIROSHI, Yazaki TOMOTAKA, Nitta ERI, Fukuma ASAKO, Miyake TATSUYA

1島根大学医学部附属病院光学医療診療部, 2島根大学医学部附属病院臨床検査部, 3島根県立中央病院肝臓内科

1Division of Endoscopy and Ultrasonography, Shimane University Hospital, 2Clinical Labolatory, Shimane University Hospital, 3Hepatology, Shimane Prefectual Hospital

キーワード :

【目的】
HBV 持続感染者の病態は,宿主の免疫応答と HBV DNA の増殖の状態により, 免疫寛容期,免疫応答期,低増殖期,寛解期に分類され,HBe 抗原セロコンバージョンを経て,一部の症例では HBs 抗原が消失し HBs 抗体が出現して臨床的寛解に至る.これらのうち,無症候性キャリアは核酸アナログ等の治療適応にはならない.また,無症候性キャリアの状態は診療の対象ではないとして,継続診療からもれることがある.しかしながらこのような集団の中から,肝細胞癌など発症し,背景に肝硬変など進行した肝疾患を伴っていた症例に時々遭遇する.しかしながら,無症候性キャリアに対して安易に侵襲的肝生検を施行することも臨床的には困難である.
近年,肝臓の弾性度評価にエラストグラフィーが簡便でよく用いられており,肝生検を施行しなくても,肝弾性度診断の評価がある程度行えるようになった.
そこで,今回われわれは,当科で臨床的に無症候性キャリアとして診療している症例で腹部超音波検査を施行した際にshear wave elastography(SWE)を施行した症例に関して,SWEで評価した肝弾性度の上昇例がどのくらい存在するのか,肝弾性度の上昇例と非上昇例で他の臨床的マーカーとの関連が見られるかを後方視的に検討した.
【方法】
対象は2016年1月~2017年10月まで当院で腹部超音波検査を施行し,SWEが測定可能で,HBV carrierと臨床的に診断され,未治療にて経過観察中の66例を対象とした.うちわけは,男/女 29/37,平均年齢61歳(30-85),HBVDNA 3.0(0-9.5)Logcopies/mL,遺伝子型(C以外) A 1例,B 3例,HBe抗原陽性/陰性3/63例, ALT 20(6-54)IU/L,Albumin 4.3(3.1-4.9)g/dL,%PT 101(77-128),Fib4index 1.76(0.5-5.5)であった.ALT 31 IU/L以上の症例は7例で,ALD,NAFLD,他疾患治療中の症例であった.SWE測定に用いた使用機種は東芝社製Aplio500と日立社性Arietta S70を使用した.SWE測定は右肋間から施行し,Vs値で中央値を評価した.測定回数,腹壁の厚み(mm)を計測した.
【結果】
平均測定回数は6.6(4-19)腹壁の厚み(mm)は15(5-20),Vs値(m/s)は1.37であった.Aplio500使用例は38例でArietta S70使用例は28例であった.Aplio500使用例でのVs値は1.47,Arietta S70使用例では1.22と有意ではないが,Aplio500使用例で高い傾向であった.Vs値に影響を及ぼす因子の検討において,単変量解析の結果では性別(P=0.773),年齢(P=0.076),ALT(P=0.06),AST(P=0.189),血小板数P=(0.422),HBVDNA量(P=0.836)HBsAg量(P=0.945),腹壁厚(P=0.596),Fib4index(P=0.003,相関係数0.361)でALT,年齢で傾向を,Fib4のみで有意な相関を認めた.M2BPGiは解析対象22例において相関は認められなかった(P=0.506).Vs値とFib4indexの相関に関して,機種別解析ではAplio500はP=0.029,相関係数0.36,AriettaS70はP=0.053,相関係数0.37で相関係数はほぼ同等であった.
【結論】
今回の横断的検討では,SWEのVs中央値と既報の肝線維化パラメーターとして用いられるFib4indexに有意な相関があった.このことは,臨床的にHBV無症候性キャリアとして評価されている集団の中において,線維化進展例が存在する可能性があることを示唆していると考えられた.肝発癌など肝関連イベント高発症リスク群の絞込みにおいて,今後これらの指標を用いることが有用となる可能性があると考えられた.