Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓/その他

(S675)

門脈内に出現する造影のムラ(jail bar artifact)の診断的活用

CEUS-related jail bar artifact in portal vein: diagnostic point of view

石田 秀明, 長沼 裕子, 宮内 孝治, 宇野 篤, 長井 裕, 小川 眞広, 大山 葉子, 渡辺 智美

Hideaki ISHIDA, Hiroko NAGANUMA, Takaharu MIYAUCHI, Atushi UNO, Hiroshi NAGAI, Masahiro OGAWA, Yoko OHYAMA, Satomi WATANABE

1秋田赤十字病院消化器科, 2市立横手病院消化器科, 3秋田赤十字病院放射線科, 4市立大森病院消化器科, 5NGI研究所, 6日本大学病院消化器肝臓内科, 7秋田厚生医療センター臨床検査科, 8市立秋田総合病院臨床検査科

1Department of Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 3Department of Radiololgy, Akita Red Cross Hospital, 4Department of Gastroenterology, Ohmori Minicipal Hospital, 5New Generation Imaging Laboratory, 6Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University Hospital, 7Department of Medical Laboratory, Akita Kousei Medical Center, 8Department of Medical Laboratory, Akita Municipal Hospital

キーワード :

造影超音波検査は肝腫瘍の診断には不可欠なものとなっている.この検査の特徴として,a)病変のみならず周囲脈管も詳細に観察可能であること,b)所見の時間的変化をみれること,が挙げられる.特に,造影剤注入30-120秒後は門脈(優位)相とよばれ肝内門脈全体が均一に濃染され微細な所見が読影可能となる.日常の造影超音波検査中に,腹部大動脈内に多数の縦線がみられる事は以前から知られており,格子戸様アーチファクト(jail bar artifact: JBA)と呼ばれている.しかし,門脈内にJBAがみられることは稀であり,それに関する報告は稀である.とはいえ,日常の造影超音波検査中に,門脈内JBAがみられる例に遭遇することも事実である.そこで,我々は,造影超音波上門脈にみられたJBAについて検討し若干の知見を得たので報告する.なお,JBAの厳密な定義はないが,ある範囲内の造影されている血管内部の前壁から後壁に至る線状の無染域が複数みられる現象を指すことが一般的であり,我々も,この一般論に従い今回の検討を行った.
対象と方法:右上腹部斜走査で肝を介して門脈本幹から門脈右枝を造影超音波で観察し門脈内JBA(+)8例,の門脈の状態を検討した.結果:JBA(+例(48-92歳,平均71,.3歳),男性:6例,女性2例)は,肝門部胆管癌2例,胆嚢癌2例,胆管癌2例,膵癌1例,(全例門脈浸潤あり),と長期の門脈血栓1例,であった.まとめと考察:CEUSに関係するアーチファクトは多種多様であり,その出現機序に関しても個々の現象に関し詳細な検討が必要である.JBAの出現機序としては,血管壁の僅かな凹凸が主な原因と思われる.日常的にJBAが最も明瞭に出現するのは腹部大動脈内であり,血管の呼吸性移動に伴いJBAの位置も同様に変化するのは,血管壁腹側の凹凸により超音波ビームの収束や拡散が生じこれにより,血管内腔の音圧が不均一になるためとするのが合理的な推定である.一方,日常,門脈内のJBA出現がまれであるのは,血管が緩やかに走行し血管壁の凹凸が少ないためと思われる.門脈壁に凹凸を生じる疾患としては,長期の門脈圧亢進症に起因する血栓形成,外部からの門脈浸潤,などが挙げられる.これらの診断にはカラードプラやFFTを組み合わせるだけで十分可能であり,このJBAが診断に不可欠ではないが,JBAの存在が超音波診断の精度向上のひとつにはなり得ると思われ報告した.今後は,ファントーム実験など加え,JBA出現の機序に関し更に検討したい.文献:Dietrich CF, et al. Artifacts and pitfalls in contrast-enhanced ultrasound of the liver. Ultraschall Med2014;35: 108-128