Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓/その他

(S675)

残留エコーの検討

Consideration of residual echo

森 秀明, 西川 かおり, 關 里和, 川村 直弘, 塚田 幾太郎, 峯 佳毅, 久松 理一, 岸野 智則, 黒岩 紀子

Hideaki MORI, Kaori NISHIKAWA, Satowa SEKI, Naohiro KAWAMURA, Ikutarou TSUKADA, Yoshitake MINE, Tadakazu HISAMATSU, Tomonori KISHINO, Noriko KUROIWA

1杏林大学医学部第三内科, 2杏林大学医学部保健学部, 3キヤノンメディカルシステムズ株式会社西東京支店

1The Third Department of Internal Medicine, Kyorin University School of Medicine, 2Department of Laboratory, kyorin University School of Medicine, 3Nishitokyo Office, Canon Medical Systems Co.,Ltd

キーワード :

【はじめに】
生体内の深部から反射してプローブに受信されるエコーは体表近傍から戻ってくるエコーと比べて時間がかかるため,次に送信された超音波パルスによる体表近傍から戻ってくるエコーと重なって受信されることがある.この現象を残留エコーと呼び,囊胞内や胆囊内,膀胱内,肝臓などの実質臓器の内部などにもやもやとしたノイズのようなアーチファクトとして描出される.残留エコーは日常臨床の現場においては肝や腎囊胞では嚢胞内出血や嚢胞内感染,胆嚢では胆泥などとの鑑別が問題となる.残留エコーは視野深度を深くすると消失したり,残留エコーの表示される深さが変わることにより嚢胞内出血や嚢胞内感染,胆泥などと鑑別されるが,その他の条件で変化が見られるかの詳細な検討はほとんどされていない.東芝メディカルシステムズ社の超音波診断装置にはBモード画像の画質を改善する機能としてPrecision ImagingとApliPure™が搭載されている.Precision Imagingは病変の境界や構造物の視認性を高め,コントラスト分解能を向上させる機能を有する.またApliPure™は空間コンパウンドと周波数コンパウンドという2つの効果を組み合わせた画像表示法で,ノイズやアーチファクトを低減し,空間分解能を向上させる機能を有する.今回,我々はPrecision Imaging およびApliPure™を用いて残留エコーに変化が見られるかを検討したので報告する.
【使用装置】
使用装置は東芝メディカルシステムズ社製 Aplio i 800,500,400.残留エコーが認められた肝囊胞13例に対して,FundamentalのB画像とPrecision Imaging およびApliPure™を用いて,残留エコーに変化が見られるかを検討した.
【結果と考察】
1)FundamentalのB画像で残留エコーを認めた肝囊胞13例は全例,視野深度を変化させると連動して残留エコーの表示される深さが変化し,視野深度を深くすると消失した.
2)FundamentalのB画像からPrecision Imagingに切り替えても残留エコーは消失しなかったが,Precision Imagingの条件下で視野深度を変化させるとFundamentalのB画像の時と同様に連動して残留エコーの表示される深さが変化し,視野深度を深くすると消失した.
3)FundamentalのB画像からApliPure™に切り替えると視野深度を変化させなくても,残留エコーは減弱または消失した.さらにApliPure™に切り替えた際に完全に残留エコーが消失しなかった例でも,FundamentalのB画像の時と同様に視野深度を変化させると連動して残留エコーの表示される深さが変化し,視野深度を深くすると完全に消失した.
4)前述したようにPrecision Imagingの条件下では残留エコーに変化は見られなかったが,Precision Imagingの条件下でApliPure™を追加した場合も,FundamentalのB画像からApliPure™に切り替えた時と同様に視野深度を変化させなくても,残留エコーは減弱または消失した.
【結論】
ApliPure™はアーチファクトの1つである残留エコーを減弱ないし消失させる効果を有している.