Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
肝悪性腫瘍/治療

(S673)

可変型RFA 電極針による肝細胞癌治療と合併症の予防

Usefulness of Adjustable RFA needle for HCC

佐藤 新平, 近藤 祐嗣, 河井 敏宏

Shinpei SATO, Yuji KONDO, Toshihiro KAWAI

佐々木研究所付属杏雲堂病院消化器肝臓内科

Gastroenterology, Kyoundo Hosital

キーワード :

【背景】
当院ではラジオ波焼灼療法(RFA)治療成績向上のため,2015年より使用可能となった可変型RFA電極針(VIVARFシステム)を導入した.これにより1本の針で焼灼域が1-3cmの範囲で自由にコントロール可能となった.しかし,コーティングの損傷が多く熱傷が起きやすいことも報告してきた.
【目的】
可変型RFA電極針の短期成績とその効果,安全性を非可変型のcool-tip電極針と比較して検討した.合併症回避の方策も検討した.
【方法】
2015-2016年までのべ197症例135人の肝癌患者にRFAが施行された.この内可変型システムを用いてRFAが施行された肝細胞癌70症例65人を解析の対象とした.全例経皮的に施行した.今回この可変型RFA電極針と同時期に使用した非可変型であるcool-tip電極針(Covidien,)50症例を比較し,治療成績,局所再発,焼灼時間,合併症などの解析を行った.腫瘍径1.9cm(1.0-5.5),平均個数1.5個(1-5)であった.焼灼方法は可変範囲2cm以下であれば40ワットから,2.5cm以上であれば50ワットから焼灼開始し,1分ごとに10ワットづつ出力を上昇させた.2回Roll offした場合に焼灼終了とした.対極板は背中に貼付した.全例電極を挿入する前に14G誘導針を肝臓表面まで挿入した.
【成績】
可変型の方が腫瘍径が大きく(2.4cm),腫瘍個数(2.0個)が有意に多かった.評価CTによる腫瘍残存はともに認められなかった.1穿刺の焼灼時間は可変/非可変;4分/4.5分と同等であった.局所再発は可変型で4例(5.7%),非可変型で3例(6%)で有意な差はなかった(観察期間平均12か月).合併症は熱傷で可変型で3例(4..2%),非可変型で1例(2%)であった.可変型の熱傷の原因として誘導針によるコーティングの損傷が多かった.2017年1月以降,誘導針を使用しないで70例にRFAを施行したところ熱傷は出現していない.
【結論】
可変型RFA電極針は非可変型のcool-tip電極針と比べて短期治療効果に遜色なく,安全に施行できた.多発病変においては効率的に治療可能であった. しかし,コーティングの損傷による熱傷には注意が必要である.