太田 孝志, 飯田 亮, 太田 カンナ, 阪上 正英, 高島 章俉, 谷口 高平, 冨岡 正雄, 新田 雅彦, 康永 秀生, 高須 朗

Koshi OTA, Ryo IIDA, Kanna OTA, Masahide SAKAUE, Shougo TAKASHIMA, Kohei TANIGUCHI, Masao TOMIOKA, Masahiko NITTA, Hideo YASUNAGA, Akira TAKASU

¹大阪医科大学救急医学教室, ²東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学分野

¹emergency medicine, Osaka medical college, ²Department of Clinical Epidemiology and Health Economics, School of Public Health, The University of Tokyo

キーワード :

【目的】
腹部超音波検査と腹部CTは虫垂炎における手術適応の決定に広く使用されている．腹部超音波検査の実施頻度は病院毎に大きく異なり，どのような要因が腹部超音波検査実施に影響を与えるかは明らかにされていない．今回，我々はDPCデータを用いて，腹部超音波検査実施に影響を与える要因を調べた．
【方法】
2010年度から2015年度のDPCデータから虫垂切除術を施行した患者を抽出し，虫垂切除術を施行した患者での腹部CT施行割合と虫垂切除数を病院毎に3分位群に分けた．腹部CT実施頻度と虫垂切除術の3分位群，性別，年齢，術式，術前の状態と，腹部超音波検査実施の関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて行った．同時に腹部CT実施頻度と腹部超音波検査の実施頻度が虫垂切除術後合併症と関連するかどうかも多変量ロジスティック回帰分析を用いて行った．
【結果】
128,388人の虫垂切除術患者を抽出した．病院毎の腹部CT実施頻度が高い群では腹部超音波検査実施は有意に低かった．女性，年齢が10歳未満で腹部超音波検査実施は有意に高かった．その他の要因は腹部超音波検査実施には影響を与えていなかった．病院毎の腹部CT実施頻度と腹部超音波検査の実施頻度は虫垂切除術後合併症とは関連がなかった．
【結論】
病院毎の特性による腹部CT実施頻度，性別，年齢は腹部超音波検査と有意な関連があった．腹部CTと腹部超音波検査は虫垂切除術後合併症を減らす事はなかった．